2016 Fiscal Year Research-status Report
原子対相関関数を用いたナノ材料の構造解析:形体および欠陥の影響
Project/Area Number |
15K04614
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
冨中 悟史 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主任研究員 (90468869)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 二体分布関数 / 燃料電池 / X線構造解析 / ナノ材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
【概略】本年度はSPring-8で放射光実験も行い、歪みの定量化のための必要な測定条件と、得られたデータの高度な解析プログラムが必要になってきた。そこで、ナノ材料の構造解析を進めつつ、基盤的な環境整備も行った。具体的には、未知構造材料の解析を行うための高精度な実験データの取得方法の検討(ハード面)および既存のプログラムでは不可能な高度な解析を行うためのプログラム・アルゴリズムの構築を行った。プログラムについては、H29年度に公開予定である。 【背景】本課題では当初、ナノ材料の欠陥や歪みにのみ着目していた。その定量的な高精度な解析にはハード面のみならずソフト面での環境整備が必須になってきたため、pythonを中心に解析プログラムの作成を進めてきた。さらにSPring-8を用いた実験を併用することで、測定環境とデータ精度に関する考えもまとまってきた。 そうした中で、詳細な解析を進める中でナノ材料でしか見られない未知構造が存在することが分かってきた。このことは学問としても非常に新しい分野の開拓に繋がるはずである。そのため、想定していたよりもはるかに複雑な解析や測定が必要になってきたが、解析法の開発により、徐々に構造を解き明かすことに成功した物質も増えてきている。 【成果の要点】本年度における成果は、X線二体分布関数による結晶歪みの定量的な解析が行えるようになってきた。このことはソフト面での発展が特に重要であった。さらに、そのように詳細を詰めることで、構造未知の材料の発見と、その構造解析への道筋も見えてきた。現状では、トライアル・アンド・エラーを繰り返しながら、効率的な解析アルゴリズムの模索とそのプログラム化を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度から本年度の前半までに、多くのPtナノ材料の分析は行い、想定していた研究の進捗は計画を上回っている。その中で、更に重要と思われる未知構造解析が必要になり、そのための環境づくりに時間を割いている。まだ全てのデータの解析の精度が不十分であるため、中心の研究の論文化はまだであるが、派生的に生まれた課題の論文化は行っており、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、さらに測定・解析精度を高めることで、歪みの影響の定量性を向上させ、体系をまとめる。現状では、ざっとした解析は終わっているが、解析誤差がまだ小さくできると考えており、そのための高度な解析を進めている。ここで得られる情報は普遍的なものとなると考えられるので、十分な時間を割く。また、派生的に生まれた課題であるものの、未知構造解析についても合わせて検討する必要があり、大きく発展する可能性があるため、解析アルゴリズムの開発を進める。それにより、当初の予定よりも遥かに大きな研究成果に繋がると考えられる。
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Research Products
(4 results)