2016 Fiscal Year Research-status Report
非長周期系の新奇ナノ粒子や薄膜の原子配列構造の解析
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15K04616
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
坂田 修身 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 高輝度放射光ステーション, ステーション長 (40215629)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Ruナノ粒子 / 近ー中距離構造 / 平均構造 / 高エネルギーX線全散乱 / 構造秩序パラメータ / Rh-Cu合金ナノ粒子 / 硬X線光電子分光 / 酸化数 |
Outline of Annual Research Achievements |
fcc、およびhcpタイプのRuナノ粒子の構造パラメータを新たに探索し、その触媒活性と構造とを関連づけることに成功した(Sci. Rep. 6, 31400 (2016), Phys. Chem. Chem. Phys. 18, 30622(2016))。高エネルギーX線(入射エネルギー61.46 keV)を用いてRuナノ粒子から回折・散乱データを収集した。データを2体分布関数(PDF)、逆モンテカルロ(RMC)モデリング、リートベルト法を組み合わせて解析した。PDFやRMCの解析からナノ粒子内のすべての原子位置を推測できたので、原子の個数分布、配位数分布や原子間の結合角度の分布に関する近-中距離の局所構造の情報を得た。リートベルト法からは、格子歪や温度因子に関する平均的な構造情報を得た。 最近接原子の個数分布や原子間の結合角度の分布を基にした局所的な近距離に関する構造秩序パラメーターを定義した。それぞれの分布の幅が小さいほどそのパラメーターの値は小さくなり、局所的に見ると構造秩序が良くなることを定量的に表す。粒子サイズが3.5 nm以上の場合、fccタイプの構造のナノ粒子はより高い構造秩序を有していた。平均構造からは、fccタイプのナノ粒子はhcp構造のナノ粒子より約1.3倍大きな格子歪を示した。また、fccタイプのナノ粒子の温度因子はhcpタイプ構造のナノ粒子の約2倍の大きさであった。温度因子が大きいことは、原子が平均位置からの位置の乱れが大きいことを意味する。 以上から、fccタイプの粒子サイズが3.5 nmから5 nm付近では、局所的に見ると構造秩序が良くなる反面、ナノ粒子全体の格子歪と平均的な原子位置の乱れは大きくなる。このことが、fccタイプの粒子サイズが3.5 nmから5 nm付近で高い酸化触媒活性と関連していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載したように、fccとhcpの2種類のRuナノ粒子の構造を系統的に解析することができ、その結果原子配列構造と酸化触媒活性との関係を計画通りに明らかにできた。さらに、予定以上に進展したことは以下である。排ガス浄化触媒であるRh-Cu合金ナノ粒子についても硬X線光電子分光を用い酸化状態を調べることができた(Sci.Rep. 7, 41264(2017))。 約8割がRhである高Rh組成のタイプと、約半分がRhで残りがCuである2つのタイプの合金ナノ粒子の電子状態(酸化数)を調べた。その結果、Rh組成が多いタイプでは、Rhナノ粒子と類似の酸化状態が観測されたが、Cu組成が約半分であるタイプではRhナノ粒子で観測されたRhの酸化状態をもつ割合が減り、Cuの酸化成分が増大することが観測された。 また、AXSのデータ解析の準備も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
シンクロトロンX線回折、散乱や光電子分光を用い、これまで準備できた解析法を駆使し、種々のナノ粒子の原子配列構造については近-中距離構造と平均構造を調べ、また酸化数などの電子状態を調べ、あわせて触媒性能との関係を調べる。構造の乱れの定量化に関して積層欠陥、固溶度などの構造情報を新たに検討する。 薄膜に関しては、a-IGZO薄膜の酸素分圧の異なる試料の近-中距離構造を調べる。さらに、高濃度に元素をドープした半導体薄膜は長周期構造から乱れがある場合がある。この乱れを定量化するとともに、電子構造も調べ、その物性との関係を議論する。
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Causes of Carryover |
国内外のシンクロトロンX線施設を利用した実験を計画していたが、一部の実験に本務の仕事の都合で参加できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き国内外のシンクロトロンX線施設を利用したり、論文や学会で成果発表したりするために使用する計画である。また、高速計算のため複数のCPUコアを使って並列計算ができるワークステーションの購入を検討している。
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Remarks |
NIMS Researchers Database SAMURAI http://samurai.nims.go.jp/SAKATA_Osami-e.html Research ID http://www.researcherid.com/rid/H-2621-2011
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Research Products
(15 results)
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[Presentation] RhCu Nanoparticles: Electronic Structure Evolution2016
Author(s)
Osami Sakata, L. S. R. Kumara, Chulho Song, Natalia Palina, Yanna Chen,Hirokazu Kobayashi, Kohei Kusada,and Hiroshi Kitagawa
Organizer
2016 JapanGermany Joint Symposium on Advanced Characterization of Nanostructured Materials for Energy and Environment
Place of Presentation
ドイツ・デュッセルドルフ
Year and Date
2016-06-28
Int'l Joint Research
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