2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K04617
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
松澤 洋子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 機能化学研究部門, 主任研究員 (10358020)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / 界面・表面 / 有機電解質化合物 / 有機光化学 / コロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、SWCNTの特性を最大限発現させることのできるデバイス作製に向けた基盤的技術への貢献を目指し、光刺激で吸脱着できるSWCNTの分散剤の高度化と薄膜加工技術への展開を目指すことであり、具体的には、特異な界面特性により凝集しやすく、溶液プロセスでは扱いにくいSWCNTの表面特性を、光反応によって構造変化する分散剤によって制御する方法を用いる。本年度は塗布法(バーコーティング)により製膜する手法の確立に向けて、SWCNTの高濃度分散液(SWCNTインク)の調製方法について検討を行った。SWCNTにはその製法により様々な径、長さのものがあり、さらには純度もその製法に依存する。不純物を多く含む汎用のSWCNTを使用する場合、遠心操作等で不純物をふるい分ける必要が生じる。本検討では、高濃度化によりインクの粘度が増すために遠心操作は行えない可能性を考慮し、不純物を殆ど含まず、なおかつ径の制御されたSWCNTを製造する手法e-DIPS法で作製したものを使用することにした。予め分散剤を溶解した水溶液に、秤量したe-DIPS_SWCNTを加え超音波処理を施すことで均質なインクとした。超音波処理は、はじめバス型(35kHz, 80W)で前処理し、つづいてホーン型(19kHz, 75W)で処理した。本検討では、バーコート法による塗布が可能な0.5、0.75、1wt%のSWCNTインクを調製することができた。特に、本研究で使用している我々が開発した光応答性分散剤は、従来の界面活性剤とはSWCNTの可溶化メカニズムが異なり、ミセルなどの会合体を形成することなく、単量体でSWCNT表面に吸着してSWCNTの分散を促すことが特徴である。そして本検討では、分散剤の使用量がSWCNTと等倍でも高濃度化分散が可能(界面活性剤の場合は数十倍の仕込み比が必要)であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的とする濃度の分散液を作製することができた。引き続き得られた分散液の評価を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られた分散液の光学物性を調べるとともに、この分散液を用いて塗布法により製膜する手法を確立、得られた膜の物性、モルフォロジを調べてゆく。また、分散剤の光反応性部位を変えた化合物も新たに合成し、その特性(特にSWCNTとの相互作用)について調べる。
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Causes of Carryover |
SWCNT分散液調製や分散剤合成に使用している超純水作製装置のフィルターカートリッジ購入に計上していたが、年度内は交換を必要としなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度内にフィルターカートリッジは寿命となることが予想されるため、交換費用として使用する予定である。
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