2015 Fiscal Year Research-status Report
ナノNi粒子による応力緩和型高温実装用インタコネクション技術研究
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15K04628
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
巽 宏平 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80373710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
犬島 浩 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60367167)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | ナノNi粒子 / 接合 / インターコネクション / 高温耐熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
導電接続材料には、半田材料が多用されてきた。半導体の接続においては、ダイボンディングやパッケージの基板への接合に長年Pb-Sn半田が使用されてきた。近年Pbフリー化の目的で、Sn-Ag系の半田材材料へ置き換わってきたが、高融点Pb-Snに代わる有望な材料がないのが現状である。また太陽電池の配線コンタクターにもSn系半田材料が使用されてきたが、太陽電池パネルを長期で使用した場合の主要な不良個所となる課題が指摘されてきた。ここでは、高耐食性を有しながら、低温で接合可能なNiナノ粒子に着目して接合機構、接合性の検討をおこなってきた。実用化における課題として、ナノNiの焼結後の強度は十分高いものの、延性に乏しく、熱応力の緩和性能が、従来の半田に比べて劣ることが判明していた。そのための対策として、Niナノ粒子接合層に延性の高いAl箔を層状に挿入して、応力緩和層とすることを提案してきた。また実用的な視点からは、Al箔両面にナノNi粒子ペーストを塗布した、ボンディングリボンとして提供することを検討する。 今年度の研究では、100nm以下のナノ粒子を用いた場合、接合強度については、300℃以上の加熱加圧接合で、十分な強度が得られることが確認できた。またAlとNiナノ粒子との接合部の信頼性、応力緩和効果について検討した結果、Alフィルムの挿入は、熱膨張係数の異なる材料のナノNiによる接合、すなわちSi/Cu基板の接合信頼性(熱サイクル試験などによる評価)に効果が顕著であることが確認できた。接合雰囲気の影響は、真空中で最も強度が高く、大気中ではやや強度が低下する傾向がみられた。熱分析の結果からは、ナノ粒子の表面を保護している有機成分の揮発と同時に、Ni粒子の酸化が進行し、焼結への阻害要因となっていることが明らかとなった。また有限要素法によるシミレーション結果においても応力緩和の効果が確認できたが、最適厚みについては今後継続して検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノNiの製造、接合評価、応力緩和の効果の確認を行い、期待される結果が確認できている。
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Strategy for Future Research Activity |
Niナノ粒子の接合の基礎課程と接合特性におよぼす要因(粒径、酸化、炭素量、接合雰囲気)を他のナノ粒子と比較して解析し、機構を明らかにする。粒径分布の評価法の検討と、複合粒子径の影響についても検討を行う。また実用的な視点から、接合信頼性の検討、応力緩和層挿入型の接合リボンとしての利用技術の研究も行う。
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Causes of Carryover |
ナノ粒子の購入費用、シミュレーション用計算機の導入費用などを計画していたが、ナノ粒子の購入先製品の予備評価から、購入品が酸化などのより十分な特性が得られないことが判明し、研究室内で、少量試作をおこなった。今後試作のための消耗備品、素材などに繰り越し費用を充当する。またシミュレーション用計算機は、一時的に代替品を使用し、最適仕様を確認することを優先したため、購入時期を遅らせる結果となった。また海外での学会発表については、特許出願検討が継続していたため、見送った結果、旅費分の次年度への繰り越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ナノNiなど試作ならびにそのたのナノ金属材料購入に関わる費用など:870000円 図書、調査資料費:230000円、国内学会、研究出張旅費(東京2回、金沢1回):270000円、外国出張旅費(2回):350000円、人件費、謝金(シミュレーションなど指導費、アルバイト費):700000円、その他(外注費など):590000円。
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