2015 Fiscal Year Research-status Report
2パルス励起プロセスを用いた非平衡的ナノ結晶成長制御
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15K04629
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
梅津 郁朗 甲南大学, 理工学部, 教授 (30203582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 岳人 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 教授 (20370033)
福岡 寛 奈良工業高等専門学校, 機械工学科, 講師 (40582648)
青木 珠緒 (松本珠緒) 甲南大学, 理工学部, 教授 (80283034)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / レーザーアブレーション / プルーム / 複合ナノ粒子 / レーザープロセッシング / 光触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は新たなダブルレーザーアブレーションシステムの立ち上げを中心に行った。本システムのチャンバーはターゲットに対して堆積基盤を垂直に配置し位置の制御も比較的容易なため、堆積物の空間分布を把握できる。ナノ結晶の空間分布は簡便なプルームの写真撮影で予測できることを示し、これらからナノ粒子に対してデブリと呼ばれるミクロンサイズの粒子の堆積量が少ない条件が得られることを示した。その後にプルームの分光システムを立ち上げ、SiとGeのダブルレーザーアブレーション中のプルーム衝突過程を測定した。中性種であるSiⅠとイオン種であるSiⅡの発光の空間的進展を観察したところ、SiⅡはSiⅠと比較して対向Geプルームの影響を大きく受けていることが分かった。これはイオン種である対向GeⅡによるクーロン反発力の影響であると考えられる。このような対向荷電粒子のプルーム進展に関する報告はこれまでになく、今後のダブルレーザーアブレーション法によるナノ粒子堆積に関して重要な情報となる。また、より広義には衝突するプラズマの荷電粒子の挙動を解釈する基礎データもなる。本研究の目的の一つとして、この技術を触媒・助触媒結合系ナノ結晶の作成に応用することがある。そこで触媒・助触媒結合系の代表であるTiO2とNiをターゲットとしてダブルレーザーアブレーションを行った。その結果、Si/Ge系と異なり、バックグラウンドガスによるプルームの閉じ込め効果が少ない、比較的低い圧力領域で衝突による発光強度の上昇が観測された。Si/Ge系との違いの詳細は不明であるが、混合領域で分子粒的な衝突が起こっていることが示唆され、混合物の形成に有力な情報となる。以上のように試料作成の基礎となるプルーム進展において新たな知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
この年度の主な目的は特にプラズマ発光分析と流体力学シミュレーションの比較から ダブルレーザーアブレーションにおけるプルーム 進展の定量的解析に重点を置くことであった。プラズマ発光分析に関してはこれまでにはない新しい知見が得られた。流体力学シミュレーションも並行して行っているが、プラズマ発光分析と流体力学シミュレーションの定量的比較が十分ではない。総合的に見れば新たな知見が得られているために順調とも言えるが、この部分に着目すればやや遅れていると言える。またレーザー誘起ブレークダウン分光システムを組み始めることも目的であり、予定通りシステムの構築を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はやや遅れを取っているプラズマ発光分析と流体力学シミュレーションの定量的比較を進めていく。またレーザー誘起ブレークダウン分光システムの構築を開始したが、現在のところ十分な信号強度が取れるところまでは至っていない。レーザーブレークダウン分光法で有用な結果が得られないことも想定済みで、その際にはナノ結晶化の時間を仮定し、プルーム進展と堆積物の構造解析の結果と無矛盾なモデル を考察することによって結晶化時間の仮定の妥当性を検討する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由はプルーム観察で新たな知見が得られ、その測定に時間をかけたため試料作成が後回しになったためである。したがって試料作成に必要な基板材料、真空部品等の消耗が予想よりも少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試料作成のための消耗品費と作成された試料の電子顕微鏡依頼測定に充てる。特に電子顕微鏡依頼測定は高額であるが有用な知見がられるために研究の進展のために合理的な利用法である。
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Research Products
(13 results)