2016 Fiscal Year Research-status Report
2パルス励起プロセスを用いた非平衡的ナノ結晶成長制御
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15K04629
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
梅津 郁朗 甲南大学, 理工学部, 教授 (30203582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 岳人 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 教授 (20370033)
福岡 寛 奈良工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (40582648)
青木 珠緒 (松本珠緒) 甲南大学, 理工学部, 教授 (80283034)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | レーザープロセッッシング / ナノ粒子 / レーザーアブレーション / 衝撃波 / プルーム / 結合ナノ結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度はダブルレーザーアブレーション法でのプルーム進展の解析で大きな成果が見られた。これまでに計算機シミュレーションから、対向プルームの進展過程で形成される対向衝撃波との衝突によって、プルームの進展速度が雰囲気ガス圧力の増加とともに遅くなるという結果を得ていた。実験的にはプルームの進展をICCDカメラで測定し、同様な速度の低下を確認していおり、計算機シミュレーションとの対応から、この速度低下は対向衝撃波の影響であると考えていた。当該年度はより高いガス圧力下で実験を行った結果、バックグラウンドガス圧力を1000Pa程度以上にすると二つのプルーム同士が衝突していないにもかかわらず、速度が低下し後退する様子が観察された。この実験結果を解析するためには放出ガス種とバックグラウンドガスのコンタクトフロントと衝撃波面の進展を見積もる必要がある。そこでプルームの先端位置をコンタクトフロントとし、衝撃波面は衝突前のコンタクトフロントの進展にブラスト波モデルを適用し、それを外挿して見積もった。その結果、対向衝撃波面とコンタクトフロントが衝突する位置・時間からコンタクトフロントの進展速度は低下し、バックグラウンドガス圧力が高い時には対向衝撃波面とほぼ一致した。一方、500Pa以下程度では衝撃波の影響は少なく、二つのプルームは相互浸透を起こす。このようにプルームの進展に対する対向衝撃波の影響を証明し、モデル化することに成功した。これらの結果は形成された衝撃波によってプルームの制御が可能であることを示し、材料設計において大きな指針を与える。すなわち、低いガス圧力下ではプルームの混合により混晶ナノ結晶が、高いガス圧力下では衝撃波によって顕著なプルームの空間分離が起き異種結合ナノ結晶が形成される可能性を指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2015年10月にTiO2ターゲットを購入し実験を行なっていた。しかしながら納入業者の手違いによってTiO2ターゲットではなくNi2O3ターゲットが納入された。納入ミスはこちらの指摘によって2016年度末に発覚したため当初予定していたTiO2に関する結果が得られていない。しかしながらプルーム進展に関しては今まで見られていなかった衝撃波の影響が明確に得られ、大きな進展があった。したがって、当初の目標から見ればやや遅れてはいるものの全体としてみれば概ね順調とも言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究によって対向衝撃波との衝突過程の制御によるプルーム進展の制御法に関する知見が得られた。対向衝撃波の影響はこれまでに得られていなかったため、計算機シミュレーションの結果を合わせてより深い考察を加える。さらにこの衝撃波モデルを基にこれまで経験に頼ってきた条件設定を見直す。また、これまでに【現在までの進捗状況】に記した原因で作成されたナノ粒子の構造に関する知見が得られていない。そのため、新たに設定された条件下で作成された試料に関して電子顕微鏡観察を中心に複合ナノ粒子構造を観測し、プルームの進展と構造の相関を明らかにする。
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Causes of Carryover |
プルームの進展過程で新たな知見が得られたためこの解析に時間を要している。その結果試料の分析が後回しになっているのが原因の一つである。もう一つの原因としては納入業者のミスでTiO2ターゲットではなくNb2O3ターゲットが納入された。納入されたターゲットにはTiO2と明記されていたため、それがNb2O3ターゲットと判明するのに時間がかかり、作成されたほとんどの試料は電子顕微鏡分析に適さないものとなった。そのため、電子顕微鏡分析に予定していた費用を消化しきれていない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
YAGレーザーが故障しその修理費、部品代が必要となる。さらにSEMも老朽化し、修理費用がかさむと予想される。その他国際会議での発表費用にも当て有効に利用することを予定している。
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Research Products
(9 results)