2016 Fiscal Year Research-status Report
アスペクト比を制御した蛍光体ナノロッド配向膜による新規偏光制御平面発光素子の実現
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15K04649
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
加藤 有行 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (10303190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 宗弘 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (20242456)
安井 寛治 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (70126481)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | ナノロッド / 蛍光体 / フラックス法 / ディップコート法 / 希土類 / 偏光 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,蛍光体ナノロッドの高品質化するとともに,面内の一方向にナノロッドを配向させる方法についての検討を行った.Eu添加Y2WO6ナノロッドの合成には平成27年度同様,原料溶質を700℃のLiClフラックスに溶解させ,LiClの蒸発による過飽和度の増加を利用して結晶成長させるフラックス法を用いたが,原料溶質としてこれまでのY2O3,WO3,Eu2O3に加え,すでに合成済みのEu添加Y2WO6ナノロッドを種結晶として導入することにより,合成される結晶の高品質化を試みた.その結果,ナノロッド以外の形状を持つ結晶の析出をほぼ抑えることができ,発光強度も約5倍向上した.また,得られたナノロッド蛍光体を面内の一方向に配向させるために,ディップコート法による成膜を試みた.ナノロッド蛍光体をポリビニルピロリドン溶液(溶媒はイソプロパノール)に分散させ,基板を浸漬後,ゆっくりと引き上げるが,その際,毛細管力と溶媒の蒸発に由来する流動力が働くことにより,ナノロッド蛍光体が配向することが期待できる.実際に得られた膜を電界放射型走査電子顕微鏡で観察すると,ナノロッド蛍光体が不完全ながらも配向していることが分かった.そのため,平成29年度は,ナノロッドを完全に配向させるため,ディップコーティングの条件,すなわち,ポリビニルピロリドンの重合度および濃度(溶液の粘度),溶媒の種類(蒸発速度),ナノロッドを分散させる量,引き上げ速度の検討を行い,最終目標である偏光特性の評価に着手する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノロッド蛍光体を面内の一方向に配向させる目処が立ったため,おおむね順調であるといえる.平成27年度にナノロッド蛍光体の合成条件を決定,平成28年度にその高品質化と配向方法の確立ができたので,平成29年度は主目標である配向膜作製条件の最適化および偏光特性の評価に移行する.
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Strategy for Future Research Activity |
Euを添加したY2WO6ナノロッド蛍光体の配向膜をディップコート法により作製する.その際の条件,すなわち,ポリビニルピロリドンの重合度および濃度(溶液の粘度),溶媒の種類(蒸発速度),ナノロッドを分散させる量,引き上げ速度の最適化を行う.それと並行して,発光の偏光特性を評価する測定系を構築し,最適化された条件で作製された配向膜の偏光特性を評価する.また,Y2WO6以外のナノロッド蛍光体(ZnO等)や,ディップコート法以外の成膜法(スリットコート法や電界紡糸法)の利用についても検討したい.
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Causes of Carryover |
本課題は追加採択で研究開始が平成27年10月であったため,研究期間を考えるとほぼ順当に予算を消化しているといえる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
理由に述べたように研究期間を考えるとほぼ順当に予算を消化しているので,最終年度は最終目標に向け助成金を最大限に活用する予定である.
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