2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K04655
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
三浦 康弘 桐蔭横浜大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20261159)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 分子超薄膜 / Langmuir-Blodgett(LB)膜 / 多重極限環境 / 高圧力 / 電気抵抗 / 微小電極ギャップ |
Outline of Annual Research Achievements |
高圧力下の電気抵抗測定は、バルク固体の物性研究では一般的だが、分子薄膜に関する報告は少なく、ラングミュア・ブロジェット膜(LB膜)に関する報告は、申請者らの報告以外に例を見ない。固体基板に異方的に吸着したバルクにない構造相は、それ自体、興味を惹く研究対象であるが、中心対称性を持たないヘテロ界面への高圧力印加は、応用、基礎 両面から興味を惹く。 研究代表者は、LB膜を圧力媒体に浸漬して高圧力(~2 GPa)を印加し、『高圧―極低温』という多重極限環境下で電気抵抗を測定する技術基盤を確立している。しかしながら、巨視的な電気抵抗は結晶粒界や欠陥の影響を受けるため、電気伝導と分子配列の相関の評価は、抵抗測定用の電極ギャップを微結晶のサイズより小さくし(サブミクロンサイズ)、試料を『極低温―高圧力―微小領域』という三重の極限環境におくことで始めて可能となると考えられる。本申請課題では、申請者らが開発した金属的な導電特性を持つLB膜を圧力媒体に浸漬し、『極低温―高圧―微小領域』という多重極限環境において電気伝導特性を評価し、超伝導相を探索することを目的とする。 初年度には、先ず、これまでよりも微小な数十ミクロン程度の電極ギャップを用いて高圧力下の電気抵抗測定を行った。PETフィルム基板上に20ミクロンのギャップを持つ金電極を真空蒸着法で形成し、その上に高い導電性を持つ2C14-Au(dmit)2塩のLB膜を積層した。従来よりも試料自体のサイズも電極ギャップも小さくしたため、電解酸化の条件を再検討した。電解酸化は定電流法で行ったが、電流値と通電時間の両者を従来の値よりも一桁程度小さくすることにより高い電気伝導度が得られることが明らかとなった。このようにして作製した試料を圧力媒体に浸漬し、室温で電気抵抗を測定したところ、圧力印可による電気抵抗の減少が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LB膜試料の高圧力下の電気抵抗の測定は、サブミクロンサイズの電極ギャップを用いる前に、先ず、マスクを用いる真空蒸着法で形成が可能な20ミクロンの電極ギャップを用いて行った。室温では信頼性の高い電気抵抗測定を行うことができ、圧力の上昇に伴う抵抗減少も確認できた。しかしながら、極低温の電気抵抗測定には問題が多く、冷却時にリード線と金電極の接触不良が原因と思われる測定不良が多く発生し、信頼性の高いデータを採取することができなかった。このため、進捗状況はやや遅れている。従って、次年度以降にこれらの問題点を克服し、実験手法を確立する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度には、室温で2C14-Au(dmit)2塩のLB膜を圧力媒体に浸漬して1 bar~1.4 GPaの圧力範囲で電気抵抗を測定し、電気抵抗が圧力の上昇に伴って減少することを確認できた。しかしながら、低温度域では電気抵抗の良好な測定が行えなかった。リード線と金電極の接触不良が原因と考えられる。 今後は、電気抵抗の温度依存性の良好な測定を実現するために、導電性接着剤、及び、圧力媒体の種類についても再検討したいと考える。具体的には、導電性接着剤にはエポキシ系の銀ペースト等の使用、圧力媒体には、これまで使用してきたオレフィン系の媒体(出光興産Daphne7373)だけでなく、フッ化炭素系の媒体(フロリナート、及び、フォンブリンオイル等)を用いて広い温度範囲での電気抵抗の測定を行いたいと考えている。 これらにより数十ミクロンオーダーの電極ギャップを用いる測定技術が確立した後、微細加工技術を用いて数ミクロン~サブミクロンサイズの電極ギャップを形成し、LB膜の高圧力下の電気抵抗測定を行う予定である。
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Remarks |
研究室ホームページ
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Research Products
(6 results)