2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K04659
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高倉 洋礼 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (30284483)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 準結晶 / 高次元結晶構造解析 / 結晶評価 / 非周期長距離秩序 / フェイゾン歪 / Tsai型クラスター / 希土類元素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、構造未解明な正20面体準結晶や準結晶に関連した構造複雑合金結晶の原子的構造を電子密度レベルで解明し、非周期長距離秩序形成のメカニズムと安定性の起源について、構造的側面の知見を得ること、準結晶の物性理解のための原子レベルでの構造情報を提供することである。特に、最近発見され、近似結晶において磁気秩序など興味深い物性が見出されている希土類を構成元素として含むTsai型クラスターで特徴づけられる正20面体準結晶の構造解明を主目的として研究を実施している。 平成28年度の結果として主要な2点の結果を示す。R-Cd (R:希土類元素,Gd, Tb, Tm)正20面体準結晶を放射光X線回折データを用いることにより、その詳細な6次元構造解析に成功した。同じTsai型のYb-Cd正20面体準結晶ではクラスター中でYbが完全な正20面体を形成するのに対して、R-Cd正20面体準結晶ではCd原子がR原子と部分的に置き換わることを明らかにした。Yb-Cd正20面体準結晶と、R-Cd (R:希土類元素,Gd, Tb, Tm)正20面体準結晶とでは、希土類元素の含有率が異なる理由が明らかとなった。これらは同じTsai型クラスターに分類される準結晶であるが、異なる構造サブクラスに属すことが判明した。また、R-Cd近似結晶においては、低温で磁気秩序の形成が見いだされているのに対して、本準結晶では磁気秩序が見られないことの理由を明らかにした。 また、同じくTsai型クラスターで特徴づけられるSc-Zn正20面体準結晶の6次元構造解析に成功した。Sc-Zn正20面体準結晶の放射光X線回折実験で得られた散漫散乱の絶対強度測定の結果とともに、準周期系特有のフェイゾン乱れの原因を原子構造に基づいて明らかにした。 以上の結果は、将来的な非周期結晶工学による物性制御のための基礎を与える重要な意義をもつ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で主目的とした、最近発見され、近似結晶において磁気秩序など興味深い物性が見出されている希土類を構成元素として含むTsai型クラスターで特徴づけられるR-Cd (R:希土類元素,Gd, Tb, Tm)正20面体準結晶の6次元結晶構造解析に成功した。Yb-Mg-Cd正20面体準結晶の6次元結晶構造解析も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
希土類を構成元素として含むTsai型クラスターで特徴づけられる2元素からなる正20面体準結晶の6次元結晶構造解析から発展して、3元素からなる正20面体準結晶の6次元結晶構造解析を進めてゆく予定である。各合金系の正20面体準結晶の形成条件の確立、純良単結晶育成、構造評価、高次元次元結晶構造解析を一続きとして、構造未知な準結晶の原子的構造を明らかにしてゆく。すでに、3元素からなる正20面体準結晶として、Yb-Mg-Cd正20面体準結晶の6次元結晶構造解析が順調に進行しており、最終段階至っている。
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Causes of Carryover |
翌年度繰越残高は、年度末において、本来1回で納品されるべき消耗品が、在庫不足のため分割納入され、請求書による請求も分割されて行われたため、消費税の誤差分が生じたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度繰越残高は、物品費の一部として適切に使用する予定。
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[Journal Article] Atomic structure of the i-R-Cd quasicrystals and consequences for magnetism2016
Author(s)
T. Yamada, H. Takakura, T. Kong, P. Das, W. T. Jayasekara, A. Kreyssig, G. Beutier, P. C. Canfield, M. de Boissieu, A. I. Goldman
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Journal Title
Physical Review B
Volume: 94
Pages: 060103-1, -5
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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