Outline of Annual Research Achievements |
完全無容器結晶成長を実現する磁気力ブースターの開発を行った. 物質・材料研究機構(NIMS)のデータを参考に製作して臨んだが, 全く成功しなかった. そこで形状や材質を変更しながら, 試行錯誤で独自形状の磁気力ブースターを開発した. 8回目の試作機でようやく期待される結晶条件を実現した(2016年12月17日).更に改良した9回目と10回目の試作機は, 思ったほどの効果は出なかった. 8回目の試作機の特許化を, 阪大, 東大, NIMSなど売り込みに行っている. 現在、NIMSと交渉中である. ほかに, 磁気浮上技術を応用し, 非定常短細線加熱法による卵白リゾチーム結晶の熱伝導率と熱拡散率の同時測定を行った(論文[1]の成果). タンパク質結晶の熱物性値計測に成功したおそらく世界初の成果であり, 日本熱物性学会から高く評価された. そのほか, 密度勾配項に作用する磁気力の効果を熱対流をモデルに検討した(論文[2]). 理論的には密度勾配項の無次元化に成功した点と, 密度勾配項に作用する磁気力の効果が無視できるくらい小さいことを初めて示した. 超電導マグネットコイル中心の軸対称磁気力が熱対流に及ぼす効果を三次元数値計算で解析した(論文[3]). [1] 牧 祥, 藤原誠之, 前川龍之介, 田中誠一, 萩原政幸, “非定常短細線加熱法と磁気アルキメデス効果を用いた卵白リゾチーム結晶の熱伝導率と熱拡散率の同時測定”, 熱物性 Vol. 30 (3), pp. 131-139 (2016). [2] S. Maki, “Magnetothermal convection of water with the presence or absence of a magnetic force acting on the susceptibility gradient”, PLoS ONE 11(9) 0160090 (26 pages), doi:10.1371, (2016). [3] S. Maki, K. Tanaka, and S. Morimoto, “Magnetothermal convection of air in a shallow vessel under the application of an axisymmetric magnetic force”, Journal of the Physical Society of Japan 86, 024402 (10 pages), (2017).
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