2017 Fiscal Year Annual Research Report
Containerless Protein Crystallization by the Magnetic Force Booster
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15K04669
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
牧 祥 大阪大谷大学, 薬学部, 助教 (20502256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩原 政幸 大阪大学, 理学研究科, 教授 (10221491)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 磁気浮上 / 磁気力 / 磁気力ブースター / タンパク質結晶化技術 / 無容器条件 / 磁気アルキメデス効果 / 対流 / 擬似無重力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、タンパク質結晶成長プロセスにおいて結晶に歪や応力などの負荷を与えない条件(無容器条件)を実現し、高品質結晶化を目指す技術開発研究である。本研究では常磁性物質を沈殿剤として使用し、溶液に作用する磁気力の反作用を結晶の磁気浮上のために活用した。これを磁気アルキメデス効果といい、小さな鉛直方向磁気力でも効果的に重力を相殺して磁気浮上を実現できる。また半径方向磁気力は結晶をマグネットの軸中心に凝集させる効果がある。ただし市販の超電導マグネットは半径方向磁気力が弱すぎるため凝集効果は乏しい。そこで本研究では磁気力ブースターという技術に注目した。磁気力ブースターは磁性材料で出来た部品で、磁場中で磁化することでその周囲に局所的に急峻な磁場勾配を発生させる。従来の磁気力ブースターは大きく、磁場中で使用する場合は安全のために頑丈な支持台で固定する必要があった。本研究では微量なタンパク質溶液に対応できる小型の磁気力ブースターを数値計算によって設計し、試作機を10機以上開発した。そして2017年初頭にタンパク質を液中で完全に磁気浮上させながら結晶化させる磁気力ブースターの開発に成功した。この磁気力ブースターは従来のそれとは形状も大きさも全く異なる斬新なものであり、磁場中での負荷は従来の約1/100以下しかない。そのため安全性と使いやすさが格段に向上した。本研究では磁気力ブースターを使ったタンパク質結晶成長過程を側面から観察・録画できる可視化装置も開発した。その結果、これまで見たことも無い特異な凝集と成長過程を実現した。こうした成果は自分が知る限り世界初であり、現在、新しい完全無容器結晶成長技術として特許化を目指して活動中である。 本研究では、可視化装置を利用してタンパク質溶液と同じ常磁性溶液の磁気熱対流の可視化も成功した。この成果は英文誌に論文投稿を済ませ、回答を待っている状態である。
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Research Products
(3 results)