2015 Fiscal Year Research-status Report
分光電気化学的手法によるソフト界面におけるイオン液体構成イオンの挙動の解明
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15K04683
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Research Institution | Asahikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
兵野 篤 旭川工業高等専門学校, 物質化学工学科, 助教 (20554299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高瀬 舞 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20631972)
松島 永佳 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30578026)
阿部 薫明 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40374566)
本林 健太 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60609600)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | イオン液体 / 電気化学 / 表面増強赤外分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
内容と目的:イオン液体は、常温で液体であるイオン性の物質で、水・油とは違う「第三の溶媒」として近年注目を集めているが、その物性は未知な部分も多い。一方で、最近の研究から、イオン液体は固体表面上では10層前後のイオンの多層膜を形成すると考えられている。これは、一般の水溶液や有機溶媒と異なり、正負のイオンのみから構成されるイオン液体に特有の構造である。その詳細な構造については未だ議論が分かれるところである。イオンのみによって構成されるイオン液体は、通常の電解質水溶液のように電極界面において電気二重層が形成しないと考えらえる。最近の研究から、イオン液体は固体表面上では10層前後のイオンの多層膜を形成すると考えられているが、詳細は明らかではない。電極表面においてイオン液体分子が形成する構造は、イオン液体中での電気化学反応のみならず、イオン液体自身の安定性に深くかかわってくる。また、通常の固体表面とは異なるイオン液体/ソフトマター界面においての挙動はほとんど明らかになっていない。 そこで本研究では、SEIRAS(表面増強赤外分光法)を用いて修飾した金電極表面におけるイオン液体分子の挙動を明らかにすることを目的とした。 金電極上でのイオン液体のSEIRASスペクトル変化において、1200cm-1付近にアニオンの硫酸基由来ピークが観察された。こららのピークは、アノード掃引により増大、カソード掃引により減少する。電極表面の電位に変化に呼応して電極からの距離が変化している様子がわかる。また、1320cm-1のピークはこれと逆の挙動を示すことから、カチオン由来と考えられる。 チオール処理電極においても全く同様のスペクトル変化が観察されたが、ピーク高さは無処理金電極と比べて小さくなっており、チオール分子によってイオン液体分子の電極表面への接近が阻害され、結果として得られる信号が弱くなったと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究分担者が異動したことに伴い研究が一時遅滞したものの、おおむね順調である。 電気化学と分光化学に分けて研究を進めており、それぞれの結果をリンクさせてまとめ上げ、さらに進展させていける可能性が見えている。
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Strategy for Future Research Activity |
電気化学、分光化学でそれぞれ得た結果をつなぎあわせて理解していくことが必要な段階であり、別々に行ってきた実験条件の整理など研究分担者と密に連携しながら進めていく予定である。 現在までに数種類のチオール種を用いた実験に成功しており、さらに種類を増やして体系的にまとめ上げていく。
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Causes of Carryover |
研究分担者の異動に伴い、進展に若干の遅滞が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究分担者が改めて装置を立ち上げるための準備と、研究打ち合わせ・共同研究に旅費が大きくかかるようになったため、これに充てる予定である。
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[Presentation] 金電極表面におけるイオン液体の動態2016
Author(s)
信田優美, 佐藤茜, 本林健太, 千葉誠, 大澤雅俊, 兵野篤
Organizer
化学系学協会北海道支部2016年冬季研究発表会
Place of Presentation
北海道大学(北海道、札幌市)
Year and Date
2016-01-19 – 2016-01-20