2016 Fiscal Year Research-status Report
偏光指紋による物体同定のための光学モデル化およびその応用
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15K04694
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
金 蓮花 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (40384656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 英一 山梨大学, 総合研究部, 教授 (70304871)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 光散乱 / ラフな表面 / 散乱計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
偏光指紋は、ラフな表面に光を照射した際起きる散乱光の偏光分布特性分布を表したものである。偏光指紋は、ラフな表面の構造や試料の材質によって異なる為、物体の同定に繋がると考えられる。偏光指紋から、試料の情報を得るためには、光学モデルを立てなければならない。そこで、様々な表面構造をもつ試料や、異なる波長の照射光における基礎実験を行い、各試料における偏光指紋を調べると同時に、モデル化を試る。これらの目的を視野に、今年度は、昨年度の単波長用装置の改良を行い、多波長での測定を可能にした.3つの異なる波長のレーザ・半導体レーザを用いた。6種類の試料における測定結果から、散乱光強度分布は試料表面構造により大きく変わるものの、偏光分布はそれほど大きな影響は現れなかった。つづいて、各試料における偏光情報の解析から、見かけ屈折率を求めた。屈折率は試料の同定に大きな役割をするパラメータのひとつである。全ての試料において、見かけ屈折率の波長分散は、鏡面の時と異なる傾向があることを見出した。鏡面の場合、屈折率は長い波長程小さくなる傾向があるが、今回の結果では大きくなる傾向が現れた。その理由については明らかになっていない。 上述した実験結果により、散乱光の偏光指紋波長分散から物体同定のためのより正確な光学モデルの提案に、新たな糸口を提供した。今後は、表面の粗さと屈折率の相互関係をより正確に表す関係式の開発と散乱表面の光学モデルの開発を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は主に、ラフな表面による散乱光の偏光特性の波長分散測定を行った。光源は3つの異なる波長のレーザ・半導体レーザを用いた。全ての計測における測定精度を保つために、昨年度の単波長用装置の改良を行い、多波長での測定を可能にした。ラフな表面による散乱光の偏光解析から、各試料の見かけ屈折率を求めた。屈折率は試料の同定に大きな役割をするパラメータである。全ての試料において、見かけ屈折率の波長分散は、鏡面の時と異なる傾向があることが分かった。 本結果より、散乱光の偏光特性解析による物体同定のためのより正確な光学モデルの提案に、新たな糸口を提供した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、主に装置の計測精度の確認及び最適化を行うとともに測定データを詳しく解析し、より正しい光学モデルを確立したい。また試料同定における、偏光指紋の限界や、それの切り口を検討する。
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Research Products
(7 results)