2016 Fiscal Year Research-status Report
異種光学材料複合化技術を用いた中赤外高出力フッ化物ガラスレーザーの開発
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15K04696
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
時田 茂樹 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 講師 (20456825)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | レーザー / フッ化物ガラス / セスキ酸化物 / セラミックレーザー / エルビウム / 中赤外レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
医療や微細加工などの分野で求められている中赤外波長域の高出力短パルスレーザー光源の開発を目標とし、基礎レーザー技術の確立を目的として研究を行っている。小型・高効率・高出力な中赤外パルスレーザーを実現する一つの手段として、エルビウム添加フッ化物ガラスと結晶材料と接合し、フッ化物ガラスの優れた光学特性と結晶の優れた熱的・機械的特性を併せ持つ新しい複合光学媒質を実現できると考えられる。また、別の手段として、エルビウム添加セスキ酸化物の透明セラミックスをレーザー増幅媒質として用いることを検討している。 第一段階の目標であった、フッ化物ガラスと結晶の接合技術の開発が遅れている。そのため、エルビウム添加セスキ酸化物セラミックスを用いた小型レーザー発振器による2.8マイクロメートル帯の発振を試み、高効率でレーザー出力が得られることを確認した。イットリウムやルテニウムなどのセスキ酸化物セラミックスは熱伝導率が高いため高出力レーザー媒質として適している。また、YAGなどのガーネット構造の結晶と比べフォノンエネルギーが小さいため3マイクロメートル帯の中赤外域で高効率なレーザー発振が得られる。酸化イットリウムと酸化ルテニウムのセラミックスを波長975ナノメートルの半導体レーザーで励起、レーザー発振させ、効率などを比較した。今後は研究計画を変更し、接合技術の開発とセスキ酸化物セラミックスレーザーの開発を並行して進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
異種光学材料接合の実験を行うための接合装置の開発が遅れている。非常に精密な温度制御を要するため、均一に加熱を行うための方法を模索中である。代替手段として、エルビウム添加セスキ酸化物セラミックスを用いたレーザー発振器の開発を開始し、こちらは順調に進展している。全体としてはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の目標であった、フッ化物ガラスと結晶の接合技術の開発が遅れており、このまま解決策が見出せない可能性もある。そのため、全く別の手段であるエルビウム添加セスキ酸化物セラミックスを用いた2.8マイクロメートル帯レーザー発振器の開発に着手した。まだ第一段階の実験ではあるが、予想以上の高い効率とレーザー出力が得られている。今後は研究計画を変更し、接合技術の開発とセスキ酸化物セラミックスレーザーの開発を並行して進める予定である。
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Causes of Carryover |
初年度に予定していた複合レーザー媒質の開発が大幅に遅れたため、今年度に予定していたレーザー発振器および増幅器の開発が遅れている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後は代替技術であるセラミック媒質を用いたレーザー発振器および増幅器の開発を進める。これに必要な光学部品等を次年度に購入する。
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