2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study on metal nanostructures for radiation cooling under solar irradiation condition
Project/Area Number |
15K04708
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岡本 隆之 国立研究開発法人理化学研究所, 石橋極微デバイス工学研究室, 専任研究員 (40185476)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | プラズモニクス / メタマテリアル / 表面励起子ポラリトン / 放射冷却 / シアニン色素 / 広帯域光吸収 / 太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
2種類の広帯域光吸収体を開発した。最初の広帯域光吸収体は直径100 nmの円開孔をランダムに設けた銀薄膜である。円開孔の充填率が30%で厚さ30 nmの銀薄膜の吸収率は可視域全域にわたり約50%で、同じ膜厚の開孔を持たない銀薄膜と比較して非常に大きくなった。これは入射光がランダム開孔によって回折され、銀薄膜を伝搬する表面プラズモンに変換されたことによる。酸化インジウムスズ(ITO)透明電極をこの有孔銀薄膜で置き換えた有機薄膜太陽電池を作製し、その性能を評価した。その結果、ITO電極を用いた太陽電池に匹敵する変換効率が得られた。有孔銀薄膜の透過率がITOの1/2程度であることから、本太陽電池の変換効率には表面プラズモンが大きく寄与していることが分かった。 有孔銀薄膜の吸収率は50%程度とそれほど大きくなく、散乱も大きいという欠点があった。新たに凹凸付金属/誘電体/金属構造を提案した。本構造はガラス基板上に直径50 nmのシリカ粒子をランダムに固定し、その上に金属薄膜、誘電体薄膜および金属厚膜を堆積して作製した。金属として銀を用いた場合、波長0.4-3.2 μmの3オクターブの広帯域にわたり50%以上の吸収率を示した。銀の代わりに金やアルミニウムを用いた場合にも類似の吸収特性を示した。 金属に代わる新たな材料の利用を図るため、表面プラズモンと同様の光学的性質を有する(Surface Exciton Polariton: SEP)の利用を考えた。これまで、SEPは無機や有機の結晶表面で観測されてきた。本研究で新たに有機非晶質材料でSEPが担持できることを見出した。使用した材料はシアニン色素のJ会合体である。この材料はスピンコートで簡単に製膜できる特長を持つ。Kretschmann配置において観測した反射率ディップから本材料表面でSEPが励起されることを確認した。
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