2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K04709
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
池田 和浩 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 研究グループ長 (70541738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 信英 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (00734542)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | スピン光デバイス / 半導体スピントロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
光励起によるレーザ発振については、引き続きより高い円偏光度でのレーザ発振を試みた。残留応力が小さいと考えられる、メサが大きなマルチモードVCSELを用いて評価を行ったが、現在のレーザ光源のパワー、光学系では十分な励起密度を確保できず、評価が難しいことが分かった。また、レーザ加工による応力付与による複屈折の制御についても、加工後の経時変化が疑われ、正しい評価が難しいことも判明した。そこで、スピンフリップモデルによる解析を行い、得られた実験データについて考察を進めた結果、残留複屈折と発振円偏光度の相関関係が明らかになった。また、①長い電子スピン緩和時間により複屈折の影響が低減されること、②初期スピン偏極度を向上させることで発振閾値よりも大きな励起強度においても高い円偏光度を維持できること、が分かった。これらの成果は、国内の学会および研究会にて口頭発表を行い、また国際論文誌に投稿し、受理・出版された。 基礎データとして、使用したInGaAs/InAlAs系量子井戸を活性層とするVCSELの層構造をTEM観察により確認した。その際、TEM評価サンプルの作製にあたりFIB加工を行ったが、本VCSELの活性層を光学的に測定するための加工が可能であることが分かった。今後、VCSELの微小なメサ構造(10um程度)の最上部にある金属電極や、分布ブラック反射膜の除去加工を行い、活性層の電子スピン緩和時間やキャリア寿命などを評価する予定である。これに必要な光学系の整備も進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
素子加工の検討のために、VCSEL活性層のスピン物性評価を後ろ倒しとし、当該VCSELの光励起による円偏光発振実験を優先したが、全体としての進捗は計画に従って進んでいる。特に円偏光発振実験については、実験上の課題が多く見つかったが、ある程度の円偏光度での発振が確認され、スピンフリップレート解析の結果と合わせて、学会・論文発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
素子加工に目処が立ったため、後ろ倒しにしたVCSEL活性層のスピン物性評価を行い、光通信波長帯でのInGaAs/InAlAs系量子井戸の有用性について検証を進める。
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