Outline of Annual Research Achievements |
1.グラフェンを新概念SWNT太陽電池の発電出力電極として使用するために,生体適合性絶縁体上へのグラフェン直接合成を目指した.急速加熱拡散プラズマCVD法により, 先ずはSiO2基板上に高品質の単層グラフェンを合成することができた.また,革新的フレシキブル生体内発電素子の構成として,SWNT薄膜とn-Si代替遷移金属ダイカルコゲナイドの組み合わせを追究した結果,バンドオフセットの観点からSWNT (EG=0.70 ev)/CrTe2 (EG = 0.77 eV) が適しており,開放電圧VOC = 0.3-0.6 Vが期待できることが分かった. 2.発電デバイスの作製のために,ラットへの埋め込みが可能かつ製作が容易なサイズのSiO2基板上に半導体性SWNTを塗布し,塗布面積と塗布量の関係等の作製条件について検討しデバイスを完成させた.先ずその基本特性として電圧-電流特性を計測し,更に光入射時の発電特性を確認した.次にデバイスに体内埋め込み可能とするためのモールドを施した後,それをラット体内に埋め込み,体外から入射する光の波長を変化させた際の発電特性を測定した結果,これまでの太陽電池とは異なり,生体埋め込みに適した特性を持つことが実証された. 3.埋め込み手術に伴うラット皮膚創傷へのプラズマ照射による組織再生に関する実験及び病理的評価を行った.未照射では皮膚表層の歪み,毛包間に結合組織の結節状的な増殖,更に毛包の配列に不整が見られたが,照射の場合には毛包が規則正しく配列しており,ケロイドにならないことが判明した.従って,プラズマ照射により皮膚の組織が規則的になり,光の拡散及び吸収を最小限に留めて光透過性を向上させ得ることが判明した.更に,創傷部位の治癒も促進させるため,埋め込み手術に必須の治療行程を短縮できる利点があることからも,プラズマ照射は有効な手段であると考えている.
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