2015 Fiscal Year Research-status Report
高効率ノイズフィルタ機能を有する新しい極低温セミリジッドケーブルの開発
Project/Area Number |
15K04724
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
久志野 彰寛 久留米大学, 医学部, 助教 (60360723)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超伝導 / 低温 / 高周波 / 放射線 / 低ノイズ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、GM冷凍機と断熱消磁を用いた1ケルビンまでの測定が可能な低温環境を久留米大学医学部放射性同位元素施設に整備した。測定、学会発表、次年度に向けた高フィルタ効率セミリジッドケーブルの設計等を行った。 超伝導ニオブチタン線に、常伝導体であるキュプロニッケルをクラッドした中心導体を有する、外径0.86mmのセミリジッドケーブルに対し、熱伝導度および減衰率の測定データの解析を進め、クラッドする常伝導体が薄くなればなるほどカットオフ周波数が高くなることを系統的に確かめた。カットオフ周波数近傍での減衰率変化が当初考えていたものよりも緩やかであり、まだ改良の余地はあるものの、中心導体の表皮深度よりも深い部分にも電流が入り込む効果をモデルに含めることで、従来に比べ周波数と減衰率の関係をより実験結果に近づけることができた。これらの成果を国内外の学会において発表した。 中心導体にクラッドを用いることによるセミリジッドケーブルのフィルタ特性を確認できたため、平成28年度に向け、その大きな抵抗率から長さ当たりの減衰率をより大きくできると期待される、ステンレスを中心導体のクラッドに用いたセミリジッドケーブルの設計を行い、中心導体の入手までを完了した。 年度当初、断熱消磁冷凍機の断熱構造や真空排気系統に予期せぬトラブルがあり,予定に比べて研究が遅れていたが、協力研究者やメーカと緊密に連絡を取り合うことで、最終的には平成27年度に計画していた実施項目をほぼ全て遂行することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者に研究機関の変更があり,年度当初は実験環境の整備に時間がかかったが,予期せぬトラブルはさほど多くなかったため,当初予定した実施内容まで大きな問題は無く遂行することができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
ステンレスをクラッドに用いた、セミリジッドケーブルを製作し、測定評価を行い,その 存在や利点を世界に向けアピールする。 超伝導検出器の開発チームと協力して,実用化に向けた検討を開始する.
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Causes of Carryover |
3月中旬に参加した国際学会の海外出張の事務的な処理が次年度に持ち越しとなったため.また当初購入を予定していたネットワークアナライザを知り合いから無償で貸与してもらうことが可能となったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
冷凍機の低温化(具体的には,断熱消磁冷凍機の多段化)を図り,実験データの優位性をより際立たせる.主にそのための材料購入費,加工費としての使用を考えている.
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