2015 Fiscal Year Research-status Report
走査型非線形誘電率顕微法による極性反転圧電薄膜の層状構造測定法の研究
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15K04725
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Research Institution | National Institute of Technology, Kumamoto College |
Principal Investigator |
小田川 裕之 熊本高等専門学校, その他部局等, 教授 (00250845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳谷 隆彦 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (10450652)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 極性反転圧電薄膜 / 走査型非線形誘電率顕微法 / AlN圧電薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、圧電体の極性を、成膜条件を変えることで制御する研究が行われており、今後の圧電・強誘電デバイスの開発で重要な技術である。しかし、層状に極性反転した構造を、基板表面から非破壊で測定できる計測法がない。本研究は、従来、面内の分極構造の測定に用いられていた走査型非線形誘電率顕微鏡の測定深さを制御することで、層状の極性反転構造を簡便に測定でき、且つ、面内の均一性も測定できる技術を築くことを目的としている。 今年の成果は次の4点である。(1) 試料表面に層状に極性反転層が形成されている構造について、探針を球と仮定して電気影像法でシミュレーションを行い、探針半径で規格化した反転層厚さ、線形誘電率、非線形誘電率と、信号強度との関係を求めた。これにより、反転層の大まかな厚さがわかったとき、どの程度の先端半径の探針を用いればよいかの指針が得られた。また、本測定では、直接的には、プローブの発振周波数やその変化を測定しており、それらの値と信号強度との関係の定式化を行った。(2) 次に、極性反転層の層厚を測定結果から求める具体的な測定手順を確立した。これには、校正用試料を用いて、未知である浮遊容量や試料の線形および非線形誘電率を校正する手順も含んでいる。これによって、測定結果と(1)で求めたシミュレーション結果から反転層厚を定量的に導くことが可能となった。(3) 実際に、ScドープAlNの極性反転圧電薄膜を作製し、それを本方法で測定し層厚の推定結果と比較検討して、本手法での測定結果の妥当性を確認した。(4) 接触状態の情報を得るために高次の非線形誘電率を計測することを考ええ、そのシミュレーションを行った。これらの結果は、極性反転層が1つの場合であるが、多層構造に応用可能である。そのためには、探針半径を変化させて測定できるプローブが必要であり、次年度以降検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度計画していた4つの項目のうち3項目については完全に目標を達成している。残り1項目(高次非線形誘電率の測定で接触状態の情報を得て接触状態の補正を行うこと)もシミュレーションを行い、測定を試みるところまでは行った。しかし、実装の可能性の可否については、z軸の制御機構の改善し更に検討が必要な状況である。これについては来年度も検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
次の4点を今後の研究の推進方策としてあげる。 (1) 高次非線形誘電率の同時測定の適用について継続して研究を行う。 (2) 探針半径を連続して可変できれば、本計測は多層構造にも適用できるので検討する。 (3) 探針の接触圧力によって、試料表面が変形し測定深さを変えることができると考えられるので、それについてもシミュレーシヨンを行い検討する。 (4) 本手法は、極性反転薄膜だけでなく誘電特性の異なる材料の層状構造にも適用可能であると考えられるので、種々のデバイス材料に適用を試みる。
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Research Products
(5 results)