2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K04729
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
笹嶋 尚彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 物理計測標準研究部門, 主任研究員 (70357127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 善郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 物理計測標準研究部門, 首席研究員 (60358265)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高温測定 / 共晶 / 温度履歴 / 温度標準 / 放射温度計 / SiC半導体ウェハ |
Outline of Annual Research Achievements |
SiCパワー半導体ウェハの高温処理装置内で、ウェハ面内の温度分布を測定するため、溶融合金と試料表面の状態から到達温度を判断するこれまでに無い高温温度履歴モニターを開発している。 平成27年度は、これまでに培った金属-炭素系高温定点技術を基に、Pt-C共晶合金(融点:1738 ℃)を利用した温度履歴モニターの開発を行った。具体的には、10 mm角のグラファイト基板の表面に白金を蒸着した試料を作製し、その試料をグラファイトるつぼ内に設置し、温度分布の良い超高温炉を用いて様々な温度で熱処理を行った。試料の昇温速度や到達温度などの温度履歴は標準放射温度計を用いて高精度に測定し、熱履歴の異なる試料の表面状態を光学顕微鏡や表面SEM、及び断面SEMを用いて確認した。 断面SEMの観察結果から、熱処理する温度が高温になるにつれ、表面の白金とグラファイト基板の反応や溶融合金のグラファイト内部への拡散が大きくなり、溶融合金が試料の奥深くまで拡散する様子を確認した。一方、表面SEMの観察結果から、共晶点温度+5℃と+100℃での熱処理温度の違いによる表面状態の変化を確認した。これらの結果から、単に白金とグラファイトが共晶点温度において反応したことを示すのみならず、共晶点以外の温度においても表面状態等を確認することにより、到達温度を判別できる技術を確立できる可能性を実証した。 しかしながら、現在のところ、これらの技術では共晶点温度を挟んだ±5 ℃程度の表面状態の違いを簡単に区別することは難しい。そのため、白金箔とグラファイト板を用いた到達温度判別技術の開発を行い、共晶点温度±5 ℃の違いを目で見て確認することができる技術開発に成功した。今後、これらの技術を組合せて、共晶点以外の温度における到達温度をより簡単に判別できる技術を開発する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究実施計画では、Pt-C共晶合金(融点:1738 ℃)を利用した温度履歴モニター技術の開発として、共晶点温度-5 ℃と+5 ℃の到達温度の違いを判別する技術を確立することを目標とした。さらに、共晶点以外の温度においても表面状態の違いから温度履歴の判定が可能かどうかの予備実験を行うことを計画した。これらの計画に対して、平成27年度は、白金箔とグラファイト板を用いた到達温度判別技術の開発を行い、共晶点温度±5 ℃の違いを目で見て確認することができる技術開発に成功した。さらに、白金を蒸着したグラファイト板を用いた焼鈍実験と表面及び断面観察を組み合わせることにより、到達温度による溶融合金の拡散や表面状態の違いを判別できる可能性を実証した。以上の結果より、本研究は、研究実施計画に基づきおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に得られた成果を踏まえ、試料の表面状態や溶融合金の拡散状態の変化をより精密に評価し、共晶点以外の温度においても表面状態等の変化から到達温度が判別できる技術を開発する。すなわち、平成27年度に得られたグラファイトと白金の組み合わせや温度履歴と表面状態等の変化を基に、新たな試料の作製や最適なグラファイトと白金箔の組み合わせなどを検討し、これらの試料を様々な温度条件で熱処理する。熱処理後の試料の表面状態や溶融金属の試料内部への浸透状況等を光学顕微鏡やSEMなどを用いて評価し、試料の最適条件を確立し、溶融合金と試料の表面状態の変化に基づく高温温度履歴モニターの実現可能性を検証する。最終的な目標として、融点+5 ℃と融点+50 ℃の違いが判別できる技術を開発する。確立した最適条件において再現実験を行い、温度履歴モニターを実現する。さらに、光学顕微鏡や断面SEM等を使用しなくても到達温度が判定可能な、より実用的な温度履歴モニタ-の可能性を検討する。
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Causes of Carryover |
通常の調達手続きにおいて見積もり競争等により差額が発生したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度配布される研究費と合わせて、次年度の研究計画に基づき、適切に使用する。
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Research Products
(2 results)