2015 Fiscal Year Research-status Report
J-PARCパルス中性子ビームを用いた鉄鋼材料や植物中のホウ素の可視化の研究
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15K04730
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木野 幸一 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00594285)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ホウ素 / イメージング / パルス中性子 / J-PARC |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、鉄鋼および植物の模擬試料を作成し、本研究で用いるJ-PARC/MLF/ANNRIにてパルス中性子ビームを照射し、微量ホウ素検出の予備実験を行った。鉄鋼の模擬試料は20×20mm,厚さ5mmの純鉄、植物のそれは17.5×15.5mm,厚さ1.3mmの水とそれを保持するアルミニウム製容器である。模擬試料には、純鉄や水の質量に対して0,5,10,50,100,500ppmのホウ素を含ませた。異なるホウ素濃度の試料それぞれについて0.5~5時間、直径約7mmのパルス中性子ビームを照射した。中性子とB-10の反応で発生した478keVガンマ線を、試料の上下に配したGeガンマ線スペクトロメータにて検出した。この結果、鉄鋼、植物の模擬試料ともに、ホウ素濃度に比例した強度で478keVガンマ線を検出することができた。植物模擬試料では試料の不具合で5,10ppmのデータが得られなかったものの、鉄鋼模擬試料では、最もホウ素濃度の少ない5ppmでも有意にホウ素が検出できることを確認することができた。さらに、この実験結果を予測計算値と比較した。中性子フラックス、中性子ビームの広がり、試料中での中性子の反応率、478keVガンマ線の試料中での減衰、Geスペクトロメータのガンマ線検出効率を考慮して予測計算値を導出した。両方の試料において、実験と予測計算値はほぼ整合することがわかった。この比較から、試料中での中性子の散乱による影響の考慮が重要であることがわかった。以上の成果は、今後正確にホウ素濃度を測定すること、また中性子ビームを絞ってイメージングを実現するための装置製作とデータ分析に大いに役立つと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度J-PARCにて鉄鋼材料と植物を模擬した試料を使った予備実験を行うことができた。これにより、ホウ素がppmオーダーで検出できることが確認でき、予測計算とのおよその一致が得られたことは大きな進捗であった。またこれは、“ぼやけ”の小さなビームスポットを作るためのコリメータや試料上下左右に動かす装置の設計・製作に役立つ。
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Strategy for Future Research Activity |
コリメータや試料上下左右に動かす装置の設計・製作を行う。また、模擬試料の改良により、ホウ素の定量イメージングの実証をより精密に行ってゆく。
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Causes of Carryover |
装置製作を翌年度に繰り越したため。確実な成果の出せる装置の設計を行うため予備実験のデータが必要であったが、実験施設側の不調により予備実験の実施が遅れたため、翌年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予備実験のデータを活用して、平成28年度に装置の設計・製作を行う。
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