2016 Fiscal Year Research-status Report
J-PARCパルス中性子ビームを用いた鉄鋼材料や植物中のホウ素の可視化の研究
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15K04730
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
木野 幸一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 分析計測標準研究部門, 主任研究員 (00594285)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | パルス中性子ビーム / ホウ素 / 鉄鋼材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高強度パルス中性子を用いて、鉄鋼材料や植物中のppmレベルの微量ホウ素を定量イメージングすることを目的としている。平成27年度は比較的大きな面積のホウ素含有試験試料(鉄鋼や植物を模擬したもの)においてホウ素の定量評価の初期実験を行い、ppmレベルでホウ素が検出できることを得たが、平成28年度以降では更なる定量化実証やイメージングの実証を行うことを目標とした。中性子コリメータにより細く絞ったパルス中性子で試料をスキャンして試料面方向のホウ素の空間分布をイメージングするために、試料を面方向に駆動する機構が必要である。この試料駆動機構の仕組みを検討した。このためにJ-PARC/MLF/BL04ビームラインのGeスペクトロメータの試料位置付近のダクトや構造体を現地調査し、必要な図面などを入手した。ppmレベルの微量ホウ素を定量評価するためには、ホウ素10が中性子と反応して発生する478keVガンマ線を良いS/Nで計測することが必要であり、バックグラウンドを極力低下させる必要がある。このために、試料付近の物質量を減らす構造の工夫をした。また、必要な精細さでイメージングを行うためにはサブミリの位置精度で試料を駆動する必要がある。また、リチウム6濃縮された炭酸リチウムで作られるコリメータの構造も検討した。J-PARCでの実験実施のため課題申請したが、平成28年度はマシンタイムが少なく不採用であった。しかし、平成29年度のマシンタイムに応募し、採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
試料を面方向に駆動する機構の構造を決定するために、その製作が遅れている。また、今年度はJ-PARCのマシンタイムが極端に少なかったため、実験を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
早期に試料を面方向に駆動する機構の製作を行う。平成29年度のJ-PARCのマシンタイムを確保できたため実験を行う。この実験では、ホウ素の定量評価の追試、ホウ素のイメージングの実証、鉄鋼材料などへの応用測定を行う。
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Causes of Carryover |
装置設計に時間を要したため、装置の購入に至らなかった。また、J-PARCでの実験課題申請が通らなかったため新規のデータが得られず、成果発表などができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
装置の設計と購入を進める。J-PARCでの実験課題申請が採択されたので、新規実験を行い成果発表を行う。
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