2016 Fiscal Year Research-status Report
イオン注入法を利用した窒素含有カーボンアロイ合成に関する研究
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15K04736
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
出崎 亮 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主幹研究員(定常) (10370355)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 窒素含有カーボンアロイ / イオン注入 / 有機―無機転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度においては、カーボン前駆体高分子に窒素イオンを注入した際のC-N結合生成挙動を明らかにすることを目的として研究を進めた。分子構造中に窒素を含まないカーボン前駆体高分子の一つであるフェノール樹脂膜に対し、真空中常温において150 keV N+を1e+15 ions/cm2照射した。ここで、イオン照射された部分だけを評価する方法を検討し、イオンが到達しなかった非照射部分を有機溶媒により溶解除去することで照射部分だけを単離する方法を確立した。この方法によって得られた単離膜の注入イオンリッチ面に対するXPS分析を行なった結果、注入されたNイオンは、主にピリジン型の構造でCと化学結合を生成することが明らかになった。窒素雰囲気下800℃でこの前駆体を炭化して得られたカーボン材料は、O2 + 4H+ + 4e- → H2Oの反応において約0.8 V vs. RHEの酸素還元電位を以て触媒活性を示した。以上のことから、カーボン前駆体へのイオン注入法が触媒活性なカーボン材料を合成する上で有効であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は当初の計画通り順調に進んでいる。平成28年度においては、量子科学技術研究開発機構 高崎量子応用研究所の400keVイオン注入装置を利用して5回のイオン注入実験を実施して所定の成果を得た。平成29年度においても5回のイオン注入実験が実施できるようマシンタイムを確保した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度においては、窒素イオン注入後のカーボン前駆体高分子について、その有機―無機転換反応における化学構造変化に及ぼす窒素イオン注入の影響を明らかにするため、1000℃までの温度で熱処理後のXPS分析、赤外分光分析等を行なう。また、得られた材料の触媒性能を評価し、その結果をイオン注入条件(エネルギー、照射量)、炭素化処理条件(温度、雰囲気)へフィードバックをかけ触媒性能の高活性化を目指す。
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Causes of Carryover |
実験消耗品として触媒性能評価装置消耗品の購入を計画していたが、平成28年度はその仕様決定に留まったため。また、日程上の都合により、計画していた日本セラミックス協会での研究成果発表が困難となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
触媒性能評価装置消耗品、各種測定分析装置用消耗品、有機溶剤等の試薬を購入するとともに、The 12th Pacific Rim Conference on Ceramic and Glass Technology (PACRIM12)、日本セラミックス協会等の会議における研究成果発表のための旅費および参加費として予算を執行する計画である。
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