2016 Fiscal Year Research-status Report
大強度中性子ビームによるマルチスケールダイナミクス測定の熱電材料研究への適用
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15K04742
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
梶本 亮一 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究主幹 (30391254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 充孝 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究主幹 (00370445)
稲村 泰弘 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究副主幹 (80343937)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中性子非弾性散乱 / 熱電材料 / フォノン / 実空間局所二体相関 / 中性子散乱データ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では、マルチスケールダイナミクス測定をキーワードにJ-PARCの中性子散乱実験装置を主に用いて、興味深い熱電特性を示すLa+Mn置換SrTiO3の格子特性を調べるとともに、サブテーマとして4d電子系物質La5Mo4O16の磁性の研究も行った。さらに、これらの研究に必要な中性子散乱実験法の高度化も行った。 La+Mn置換SrTiO3の研究では昨年度の研究により局所的格子歪が熱伝導低下の起源である可能性が示唆されたが、研究をさらに推し進めるため、当該年度は粉末中性子回折実験を行い、実空間局所二体相関を求めることで局所歪の有無を調べた。その結果、Mn周りの局所格子歪を示唆するデータが得られ、速報として国内の研究会・学会にて発表した。また、昨年度は施設のトラブルにより実施できなかった単結晶試料を用いた中性子非弾性散乱実験を、J-PARCに加え英国ISISの類似の実験装置を用いて行うことができた。その結果、La+Mn置換による光学フォノンの変化を明瞭に捉えることにより成功した。この結果はフォノンの非調和性の増加を示唆しており、熱伝導の低下の一因となっている可能性もある。一方、La5Mo4O16については、測定エネルギースケールの異なる2台の中性子非弾性散乱装置と1台の中性子回折装置を用いた実験により、磁気構造とスピン間に働く相互作用を決定することができた。これは複数装置の相補利用によるマルチスケール測定による成果と言えるが、その結果をまとめた論文がまもなく掲載予定である。 以上のような実験研究を進めるにあたり、それに必要なデータ解析技術の開発も行った。具体的には、実験データから物理量を抽出するために必要な装置分解能関数の定量的評価法の検討や、より高効率の測定と解析を可能にする単結晶試料解析ソフトウェアの高度化を行った。その結果は国内・国外の研究会で発表し、論文も投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度投稿した論文を無事に出版することができたことに加え、昨年度の研究を発展させる粉末中性子回折実験を行うことができた。また、昨年度では延期となってしまった単結晶による中性子非弾性散乱実験を、J-PARCだけでなく海外の施設も用いて行うことができた。実験データ解析法の高度化の面でも論文が投稿できるだけの進展が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
La+Mn置換SrTiO3の粉末試料に対する中性子散乱実験については、論文にまとめられるだけの実験データは得たと考えており、今後はその解析と論文化を進める。同じく単結晶試料に対する実験に関しては、異なる温度での追加実験を検討中である。その追加実験のデータと合わせて論文化を進める。
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Causes of Carryover |
当該年度では実験研究が順調に進んだが、今後はその追加実験と成果発表が必要となってくる。これら追加実験と成果発表は海外でも実施することを検討しており、そのための旅費の確保をするために当該年度の予算の一部を次年度へ延伸することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「理由」欄で述べたとおり、次年度使用額は海外施設での実験を行うための旅費や国内・外での研究発表への参加費と旅費に充てる予定である。
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[Journal Article] Time-of-Flight Elastic and Inelastic Neutron Scattering Studies on the Localized 4d Electron Layered Perovskite La5Mo4O162017
Author(s)
K. Iida, R. Kajimoto, Y. Mizuno, K. Kamazawa, Y. Inamura, A. Hoshikawa, Y. Yoshida, T. Matsukawa, T. Ishigaki, Y. Kawamura, S. Ibuka, T. Yokoo, S. Itoh, and T. Katsufuji
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Journal Title
J. Phys. Soc. Jpn.
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Status Report of the Chopper Spectrometer 4SEASONS2017
Author(s)
R. Kajimoto, M. Nakamura, Y. Inamura, K. Kamazawa, K. Ikeuchi, K. Iida, M. Ishikado, N. Murai, T. Nakatani, N. Kubo, and W. Kambara
Organizer
The 22nd meeting of the International Collaboration on Advanced Neutron Sources (ICANS XXII)
Place of Presentation
オックスフォード(英国)
Year and Date
2017-03-27 – 2017-03-31
Int'l Joint Research
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[Presentation] MLF-BL01 チョッパー分光器「四季」2017
Author(s)
梶本亮一, 中村充孝, 稲村泰弘, 蒲沢和也, 池内和彦, 飯田一樹, 石角元志, 村井直樹, 中谷 健, 久保直也, 神原 理
Organizer
2016年度量子ビームサイエンスフェスタ/第8回MLFシンポジウム
Place of Presentation
つくば国際会議場(茨城県つくば市)
Year and Date
2017-03-14 – 2017-03-15
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[Presentation] Status of the Chopper Spectrometer 4SEASONS at J-PARC2016
Author(s)
R. Kajimoto, M. Nakamura, Y. Inamura, K. Kamazawa, K. Ikeuchi, K. Iida, M. Ishikado, K. Nakajima, S. Ohira-Kawamura, T. Nakatani, W. Kambara
Organizer
The 7th Workshop on Inelastic Neutron Spectrometers (WINS 2016)
Place of Presentation
ポツダム(ドイツ)
Year and Date
2016-09-08 – 2016-09-09
Int'l Joint Research
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