2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K04777
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
佐々木 洋城 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 教授 (60142684)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 有限群 / ブロック・イデアル / ソース多元環 / コホモロジー環 / トランスファー写像 |
Outline of Annual Research Achievements |
有限群のブロック・イデアルのソース多元環から定められるトランスファー写像がブロック・イデアルのコホモロジー環を特徴付けるという予想を確認するという目標のため,まず,ブロック・イデアルのディフェクト群を具体的に指定して,例を解析するのが目標であった。ディフェクト群が小さなエクストラ・スペシャル群である場合に考察し,素体上の3次一般線形群およびHeldの単純群の素数7の主ブロックのコホモロジー環を得るトランスファー写像を調べた。ブロック・イデアルのコホモロジー環はディフェクト群のコホモロジー環の部分環であって,ブロック・イデアルの部分対のなすBrauer圏に関して安定なものである。そのため,ブロック・イデアルのBrauer圏を特徴づける部分対の特定とそれらの部分対の安定部分群から定められるディフェクト群のコホモロジー環の写像(とその合成)の把握とソース多元環の直和因子の把握,そしてこれらの関係の総合的把握が必要である。3次一般線形群の主ブロックのコホモロジー環については,トランスファー写像を構成し,それがソース多元環に由来するものであることが確認できた。しかし,Heldの単純群の素数7の主ブロックのコホモロジー環についてもトランスファー写像は得られ,必要な部分対も特定できたが,それらに由来するディフェクト群のコホモロジー環の写像とその合成と得られたTランスファー写像との関係については明らかにできず,トランスファー写像がソース多元環に由来するかどうかの決定にはいたらなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
トランスファー写像の構成要素がブロック・イデアルのソース多元環から由来するものであるかどうかを解析するためには,部分対の融合についてつぶさに調べることが必要である。その基本理論の本研究課題に関する部分でより精密な,あるいは,より広範囲に適用可能な理論が求められているが,十分な展開ができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
以前に得られていた定理ではブロックのコホモロジー環を調べるために,ソース多元環の(おそらく最も重要であろう)直既約直和因子を特定できたのだが,実は,他にも必要な直和因子が存在するのであって,その解析のため定理の改良点の明確化,または別の定理の発見が必要である。得られている例,すなわち,ディフェクト群がリース2群であるブロック・イデアルやエクストラ・スペシャル群であるブロック・イデアル(Heldの単純群やその他の単純群,3次特殊線形群など)のコホモロジー環のトランスファー写像や部分対の融合の様子のさらなる解析を通して障害の明確化をはかる。 当面,当初の研究計画にのっとり研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
計画どおりに研究連絡などの出張ができなかったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究連絡をより密にし,次年度使用額は平成28年度請求額と合わせ出張費として使用予定である。
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