2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K04779
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
岸 康弘 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (60380375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 耕史 名城大学, 理工学部, 准教授 (50300207)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 代数学 / 数論 / 連分数 / 実二次体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、主に連分数を用いて実二次体を分析し、その中でも類数に関する情報を引き出すことを目的としている。特に、類数が1となる実二次体が無数に存在するという、いわゆるガウスの類数1問題を解くことが一つの大きな目標である。数値実験によれば、各偶数周期の最小元には類数1の実二次体を与える自然数が並んでいる。我々はこの現象を解明するため、「pre-ELE型有限列」という概念を導入した。5つの増殖変換によってpre-ELE型有限列を操ることが可能であるが、どのような変換を行えば周期の最小元を与えるpre-ELE型有限列を構成できるのか、その手順はわかっていない。そのメカニズムを究明すること、またそのためにどのような不変量を解析したらよいかの分析が今後の研究課題である。本年度の成果を次に挙げる。 1.9億までのデータの中のから、連分数展開における偶数周期の最小元が満たす性質を3つ(具体的には、dのmodulo 3での値、部分商の最大数とdとの関係、部分商の最大数を与える個数について)発見し、それらの間に関係を見出した。 2.ある有限列に5つの増殖変換を作用させたときに、その有限列から計算されるある不変量の符号の変化の様子を明示した。 3.高等科学院(韓国)のKwang-Seob Kim氏との共同研究により、類数が5で割れるような2次体の無限族を構成した。また、この結果は2017年1月に岡山大学が発行するMathematical Journal of Okayama Universityに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度研究が深まった実二次体の類数が1となることの判定条件に現れる不変量Q_nについて、今年度は決定的な結果は得られなかった。しかしながら、周期の最小元に関する性質について3つの発見があり、これは大きな進展であったと考える。総合的に見て、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
最小元の構成法を得るため、5つの増殖変換や不変量Q_nについて、また部分商の最大数の値についての分析を引き続き行う。さらに、ワークステーションによる数値データベースの拡充を行ない、それと同時に新たな数値実験を開始していく。 今年度、学習院大学及び名城大学において計5回のセミナーを研究分担者冨田耕史氏、連携研究者河本史紀氏と行った。引き続き、共同のセミナーを開催する予定である。 また、昨年度同様、福岡数論研究集会、愛知数論セミナーを開催し、情報収集に活用する。
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Causes of Carryover |
2月に予定していた研究打ち合わせがメンバーの都合で開催できず物品購入に充てたが、若干の残余が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
数論関係の図書のための物品費として約10万円、福岡数論研究集会、愛知数論セミナーなどの開催・参加費用、及び共同研究者との名城大学・学習院大学におけるセミナーのための旅費として約35万円、研究補助等の謝金として約10万円の使用を予定している。さらに、インドで行われる国際研究集会への参加費用等の旅費として約25万円計上している。
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Research Products
(5 results)