2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K04782
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
有木 進 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (40212641)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 表現型 / 古典型ヘッケ代数 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画では、初年度に修士学生と共同で2つのプロジェクトを遂行するとしていた。そのうちのひとつは長年にわたって未解決であったB型ヘッケ代数のブロック代数の表現型の決定であったが、より一般に古典型(D型の場合は基礎体の標数が奇数を仮定)のヘッケ代数のブロック代数の表現型を決定することができた。手法としては、レベル2の円分箙ヘッケ代数とヘッケ代数のブロック代数の同型定理をもとに、ソウル市立大学のパク氏との一連の論文で開発した手法を適用したものであり、とくに最高重みが基本重みの2倍になっている場合に関しては修士学生筧直太の協力を得て決定したものである。結果はすでにarXiv:1512.06358で公開済である。もうひとつのプロジェクトは連携研究者加瀬遼一及び修士学生宮本賢伍との共著論文で導入したアウスランダーライテン有向グラフの亜種に関するものであった。完備離散附置環を係数にもつブラウアーグラフ代数に対し、基礎環の商体をテンソルしたときに射影加群となるような直既約格子を頂点とし既約射を有向辺とする有向グラフを考える。共著論文では問題の設定と計算手法を提示するとともに、もっとも簡単な場合である辺の個数が1本のブラウアー木に対してヘラー格子を含む連結成分を決定した。この結果は本年度秋に名古屋数学雑誌にアクセプトされた。その後この研究の次の段階としてクロネッカー代数についても同様の結果を得るべく共同研究する予定であったが、宮本の貢献が著しかったため宮本の単著論文として発表することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載の修士学生との共同研究が予定通り進行したため。ただし、ブロック代数の表現型の決定については学生が計算した部分を独立に発表させようとしたが時間切れとなったので発表方法について次年度に考える必要がある。また、完備離散附置環上のブラウアーグラフ代数に対し定義したアウスランダーライテン有向グラフの亜種の連結成分の決定に関しては、共著論文は私と連携研究者加瀬の研究業績になるが、次のクロネッカー代数の例の場合、学生が優秀であったために当初計画したより共同研究の度合いが薄れ、学生の単著論文として発表したので、このテーマに関しては次年度以降はなるべく学生の独立した研究を支援する方向に転換する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
James予想に関する予備的な考察に着手する。また、有限箙ヘッケ代数、とくにリー型がC型の場合に、スペヒト加群理論や準遺伝被服について考察する。
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Causes of Carryover |
7,933円という少額のため無理に予算消化することを避けたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度旅費に追加する。
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