2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K04795
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
都築 正男 上智大学, 理工学部, 教授 (80296946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若槻 聡 金沢大学, 数物科学系, 准教授 (10432121)
権 寧魯 九州大学, 数理学研究院, 准教授 (30302508)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 跡公式 / フーリエ変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
●GL(3)の跡公式のフーリエ変換について: 本年度は、Arthur によって得られている不変跡公式をGL(3)に特化し、各項の明示的フーリエ変換を求めることについてほぼ目処が付いた。基礎体を有理数体に限定したうえ、アデール群上のテスト関数としてはすべての有限素点で標準的極大コンパクト部分群の特性関数、無限素点では直交群で両側不変なコンパクト台のスムーズ関数のテンソル積を考えることにし、ポワンカレ上半平面の場合に知られているSelberg跡公式と同レベルの計算可能性を備えた公式を書き下すことを当面の目標とした。若槻氏がHoffmann氏を訪問し、極小放物部分群に付随する重さ付軌道積分の特異元に対するFourie変換を計算するための極限プロセスについて大きな進展を得た。3次正定値対称行列のなすリーマン多様体を3次ユニモヂュラー群で割った商多様体に対するワイル法則の精密化などへの応用可能性についても、一定の見通しが得られたことも一つの成果としてあげられる。 ●相対跡公式について:研究実施計画で挙げた直交群の対に対する相対跡公式に関しては、特記すべき進展は得られなかった。しかし、GL(2)の対称積L関数の特殊値を使ったSelberg跡公式の「変形」に関して杉山氏との共同研究を進展させ、従来型の公式の一般化に成功した。ここで得られたEisenstein series の周期積分の具体的な決定を用いた証明方法はZagier, Jacquet の先行研究で採用されていたものより拡張可能性が高いと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GL(3)の跡公式に関しては、順調な進展がみられており、次年度までには一定の成果をまとめられる段階に来ている。ヘッケ作用素の扱いに関しては当初の見込みが甘く、克服すべき困難が多い。直交群の相対跡公式については、現時点では当初とは別の方向に研究が進展中ではあるが、新しく興味深い結果は得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
GL(3)の跡公式については順調に進展しており、当初の予定に特段の変更はない。相対跡公式については、直交群のケースと同時進行的に、今年度得られたJacquet-Zagier型の跡公式の変種や、そのGL(3)への拡張などを考察する。
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Causes of Carryover |
今年度は予定していたドイツへの渡航がスケジュール上難しく、取りやめたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
PCを購入する。可能ならば、予定を調整してドイツへの渡航を実現する。
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