2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K04798
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
木田 雅成 東京理科大学, 理学部第一部数学科, 教授 (20272057)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2020-03-31
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Keywords | 非可換拡大 / アルティンL関数 / 2次形式 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究で実験的に行った位数8の二面体群のアルティンL関数と分解法則の計算を拡張し,本年度は位数4の二面体群の中心拡大で非可換な群のファミリーをガロア群を持つガロア拡大についての研究を行った. このような群は冪零クラスが2の非可換群になり,アーベル群の次に簡単な群のクラスと考えられ,そのようなガロア群をもつ拡大体の数論的研究は意義のあるものである.このような群のファミリーに対して,その線形表現を系統的に調べることにより,忠実でないものを含め,すべての次数2の既約線形表現がわかれば,そのガロア拡大の分解法則が導かれることを証明した.さらに,このような非可換拡大体では分解法則が合同条件のついた2次形式で表されるという Kubota-Furuta の結果の解析的な証明を得た.このようなガロア群を持つガロア拡大のアルティンL関数を2次体の部分ゼータ関数として計算するアルゴリズムを新谷卓郎などのアイディアを元に考案し,計算機での実装を行った.このプログラムを使った計算により,今まで知られていなかった非可換拡大での分解法則が具体的に計算することが可能になり,さまざまな実験を行うことができるようになった. これらの結果は金沢,新潟などの整数論セミナーで発表し,南村典彦との共著論文として,Journal of Number Theory で出版される予定である. 本年度の後半では,有限群論やその表現論のより深い結果を用いることにより,これらの研究を統一的な視点で解明を進めたいと考え,その分野の基本文献の精読を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は模索的,実験的な段階をすでに終え,作成したプログラムから得られた数値例などの詳細な解析や,その理論的な考察に焦点が移り,現在のところ,それに集中して取り組んでいる.また,中間的な成果としての論文も出版される予定であることから,本研究は概ね順調に推移,進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,最初の論文で得られた結果にさらなる理論的な考察を進めて行く予定である.先に述べた有限群論による理論の統制をまず考えて行く予定である.さらに,アルティンL関数の計算に登場する合同条件つきのテータ関数の研究は古典的な Hecke の研究の精読を必要とすると考えている.またさらに冪零クラスの大きい群に関する考察も今後の課題となっている.
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Causes of Carryover |
初年度が,半年遅れての研究採用となり,そのため初年度の繰越が多く,また予定していた出張が,多忙のためできなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は時間をとって,研究打ち合わせ,研究発表等に有効利用したいと考えている.
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Research Products
(4 results)