2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K04798
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
木田 雅成 東京理科大学, 理学部第一部数学科, 教授 (20272057)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2020-03-31
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Keywords | 数体の非可換拡大 / 二次形式 / ガロア群の同質類 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究では.昨年度の研究で行った位数4の二面体群のの中心拡大に同型なガロア群の研究を継続あるいは発展させるような研究をおこなった.このような有限群の族が同質類 (isoclinism) という概念で統率できることがわかり,同質類の概念に基づいたガロア拡大の研究を開始した.有限群の同質類は同型類より弱い分類であるが,交換子群の位数や,線形表現の次数などが不変量になる有限群の分類である.具体的には次のような研究を行った. (1)二次元ガロア表現の像となるような有限群を同質類を使って完全な分類を行なった.さらに平方因子を含まない Artin conductor をもつような2次元ガロア表現の像となる有限群を完全に決定した.これは1970年代に Serre, Nakazato によって得られた結果の拡張となっている.この結果は学術誌に掲載済みである. (2)二面体群の同質類にはいる群と同型なガロア群をもつ有理数体上の拡大の Artin L 関数の逆メリン変換は非同質テータ関数の線形結合になることがわかったので,この非等質テータ関数自体の保型型式としての性質をしらべ,線形結合をうまくとることで,重さ1の保型型式が作れることを示した.この点に関しては来年度以降により精密な結果を探求していきたい. (3)位数16の二面体群の同質類に次の性質をみたす群が多数あることを発見した.すなわち,すべての二次奇表現は実2次体に対応する一次指標から誘導される.このようなガロア群をもつ有理数体上のガロア拡大の Artin L 関数の逆メリン変換は不定符号2次型式のテータ関数となり,これまでにあまり知られていなかった例をたくさん与えることになる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上の研究実績の概要で述べたように,一番小さな非可換同質類に関する研究から出発し,そこからいろいろな方向への発展があり,保型表現と直接関係しないの非アーベル拡大の研究も,多くの課題があることが判明し,今後の研究への展望がみえてきている.そのため,研究課題は順調に進捗していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要の(2),(3)に述べた研究を深め,今年度は論文の形にまとめたいと考えている.また,ガロア群の同質類に基づいた研究が,有効であることを示すため,冪零クラスが2のガロア群をもつ体に関する過去の研究を,新しい視点で見直すことも考えている.
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Causes of Carryover |
(理由) 初年度が半年遅れのスタートであったことから,初年度の繰越を若干引きずったため. (使用計画) 本年度は研究時間を確保し,研究打ち合わせ等に有効利用したいと考えている.
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Research Products
(4 results)