2015 Fiscal Year Research-status Report
数論的多重対数予想の解決を担う新しい直交多項式系の創成とパデ近似
Project/Area Number |
15K04799
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
平田 典子 (河野典子) 日本大学, 理工学部, 教授 (90215195)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 対数関数 / 多重対数 / ディオファントス近似 / パデ近似 / p進解析 / 無理数 / 超越数 |
Outline of Annual Research Achievements |
多重対数関数の数論的性質に関する大予想に接近するための独創的な手法を開発することが,本課題の最大の目的である.この予想に近づくための主たる手法と思われるパデ近似およびディオファントス近似に関して,海外共同研究者である Paris大学の S. David氏を平成27年10月末から11月初旬にかけて日本大学理工学部に招聘し,代数的な新手法を構築するべく研究討議をかわした.共著論文をまとめている処である.またStrasbourg大学の Y. Bugeaud氏, F. Luca氏(Mexico 数学研究所から南アフリカの Witwatersrand 大学に異動)と研究討議を開始した.S. David氏とはp進の場合の数論的多重対数の値の数論的性質に対する議論も併せて進展させている.F. Luca氏との討議内容は,線形回帰数列を底とした指数方程式の整数解の評価において用いられた手法の発展を含むが,平成28年度にはこれををいっそう進展させる計画である.なお,ドイツのOberwolfach数学研究所を訪問し,パデ近似についての情報収集することを実施している. 平成27年度の開催予定であったディオファントス問題と周辺分野に関する研究集会を,諸般の都合で平成28年度の開催に変更し,本課題の進展のために有用な情報収集をおこなう計画を進めて,主な講演者を決めた処である.日程は平成29年1月7日・8日・9日の3日間であり,上記のS. David氏,Y. Bugeaud氏, F. Luca氏に加えてParis大学名誉教授のM. Waldschmidt氏を基調講演者として日本大学理工学部に招聘予定である.国内からの講演者も20名程度を予定している.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者の所属大学で,講演者20数名,参加者50名~100名程度の国際研究集会を開くための準備に時間を要したため,研究集会の開催は平成27年度から平成28年度に変更することになった.それにも拘らず課題の研究はおおむね順調に進みつつある.特にS. David氏との本年度の共同研究は,代数学的な議論を用いてRemainder関数の部分分数展開についての精密な評価を,過去のパデ近似の研究代表者の先行研究に適用するというアイデアに負うものである.これはDavid氏の招聘が研究費のお陰でタイムリーに実施されて,研究討議が平成28年度ではなく平成27年度中に実施されたためであり,今後のパデ近似の総合的な理論を改良し統括するような実りある研究への示唆を与えられる重要な発展に結びつくと思われる. 超幾何級数の特殊値についての問題や,E関数やG関数に対する応用も,この手法によって考究することを新たに計画に加えて進めつつある.
|
Strategy for Future Research Activity |
S. David氏との共同研究をさらに進めるために,イタリアの研究集会(平成28年6月中旬)に参加して,S. David氏を含む関連分野の多くの専門家との討議をかわす.特にY. Bugeaud氏やD. Roy氏などのディオファントス近似の研究者の集まる集会であるため,研究代表者自身の中間成果も発表予定である.講演者リストも示されている当該研究集会のサイトは次である: http://www.mw70.eu/speakers.html また国際研究集会を平成29年1月7日・8日・9日の3日間にて日本大学理工学部で開催予定である.S. David氏,Y. Bugeaud氏, F. Luca氏に加え,Paris大学名誉教授のM. Waldschmidt氏らの専門家を研究代表者の所属大学に招聘し,基調講演者として講演を依頼して,課題の研究への効果の見込まれるような情報収集を行う.
|