2017 Fiscal Year Annual Research Report
数論的多重対数予想の解決を担う新しい直交多項式系の創成とパデ近似
Project/Area Number |
15K04799
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
平田 典子 (河野典子) 日本大学, 理工学部, 教授 (90215195)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | パデ近似 / 多重対数 / 対数関数 / リーマンゼータ関数 / Lerch関数 / 無理数 / 1次独立性 / 定量的無理数度 |
Outline of Annual Research Achievements |
対数関数を拡張した複素関数に多重対数関数,通称ポリログと呼ばれるものがある.これはリーマンゼータ関数と深く関連することが良く知られている数論的に意味のある関数である.また理論物理学でもひんぱんに登場するものである.このポリログに関して,我々は任意の次数をもつ代数的数におけるs重ポリログおよび1から成るs+1個の複素数に対する有理数体上の一次独立性を証明した.これは,該当するs重ポリログはすべて無理数であることを系として従える強い結果である.実際にどのような無理数の値が得られるかという実例の計算例も含めた査読付き論文として出版した.Yu. Nesterenko や T. Rivoalといったパデ近似の専門家による近年の先行研究と同じ手法に負うものではなく,直交多項式の考察を活用するという着眼により昔の手法を発展させたものであって,卓越した新規性をもつ.これらは鷲尾勇介氏,伊藤勝氏,および,フランスパリ大学教授のS. David氏らとの共同研究であり,現在の知見から証明される数学的な内容としては殆ど最高の成果であろう.実際の証明にはある行列式が非零値を持つことが重要であり,一般化されたHankel行列式が非零値を持つための必要十分条件に対する先行研究を詳しく調べることに到った S. David氏との共同での考察がクリティカルであった.さらにこの証明法を応用して,n個の代数的数においての通常の自然対数の値に対する有理数体上の一次独立性および,近似度と呼ばれる定量的な情報も,大阪大学の川島 誠氏との共同研究成果として得ることができた.これもディオファントス方程式への応用が期待されるシャープな近似である.なお,引き続き別のディオファントス近似,特に超一様分布に関する手法を用いての考察を用いると顕著な進展がみられるという観察にも到った.
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