2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K04800
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Research Institution | Tsuda University |
Principal Investigator |
佐藤 文広 津田塾大学, 数学・計算機科学研究所, 研究員 (20120884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 直 北里大学, 一般教育部, 准教授 (70632412)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ゼータ関数 / 概均質ベクトル空間 / アイゼンシュタイン級数 / 周期 / b-関数 / 局所関数等式 |
Outline of Annual Research Achievements |
(研究目的 1)簡約代数群 G が作用する概均質ベクトル空間において、群 G をその放物型部分群 P に制限しても依然概均質ベクトル空間となっているとする。この設定の下で、制限によって得られる概均質ベクトル空間のゼータ関数の係数を G の数論的部分群による軌道上で平均したものを P から定まるアイゼンシュタイン級数の周期の平均値として表す公式を、固定化群が非等方的となるような点の軌道の場合に(一部に詰めるべき部分を残しているが)得た。これは、Mizuno,Hiroe-Oda,Bekki等によって最近得られているゼータ関数に対する様々な Hecke 型の積分公式についての結果を概均質ベクトル空間の立場から統一的に説明するものとなっていると同時に、アイゼンシュタイン級数の周期と多変数ゼータ関数の関係を具体的に与える例ともなっている。 (研究目的 2)A. 非概均質的局所関数等式の構成法を整備するため、多項式系の多変数複素ベキ積分の収束域の決定、弱関数等式から強関数等式を導くプロセスを有理関数系に拡張し、その応用として、貼り合わせ構成による非概均質的局所関数等式の新しい例を構成した。B.超局所 b-関数の理論から示唆を得て、「べき指数のパラメータと独立な定数係数微分作用素による b-関数」が存在するための条件についての予想を定式化した。そのような b-関数の存在は局所関数等式が成立するための必要条件であり、予想が証明できれば、非概均質的局所関数等式成立の必要十分条件にかなり接近することができると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的の 1, 2 ともに具体的成果が(証明の一部に詰めるべき部分が残されてはいるものの)ほぼ予期した形で得られている。特に、2 では、既存の概均質ベクトル空間の理論の枠外において局所関数等式が成立するための条件について、予想の形ではあるが、具体例の構成から一歩踏み出した一般的見通しが得られたことは、本年度の大きな成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度と同様に、研究分担者・研究協力者を含めて月1回程度のペースで開催する「概均質セミナー」において、議論を組織的に行い研究を進める。また、引き続き、関連分野における研究集会に参加し情報収集・関連研究者との研究打ち合わせを行う。30年度は本課題の最終年度であるため、これまでの研究成果の発表をとくに重視する。
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Causes of Carryover |
研究協力者との研究打ち合わせ日程が当初計画より1日少なくなったため、約1泊分弱の経費の残が生じた。新年度に改めて、研究打ち合わせを行い使用する。
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