2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K04801
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
浜畑 芳紀 岡山理科大学, 理学部, 教授 (90260645)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Dedekind和 / Lambert級数 / Dirichlet級数 / 有限体 |
Outline of Annual Research Achievements |
19世紀末にR. Dedekindは、エータ関数と呼ばれる保型形式の変換公式を研究する過程でDedekind和と呼ばれる数論的に重要な有限和を発見し、相互法則を導いた。1990年頃からG. Stevens, R. Sczech, D. Solomonは、GL(2,Q)の普遍1-コサイクルの研究を始め、1-コサイクルの構成、部分ゼータ関数の特殊値のコホモロジー的解釈、1-コサイクルのDedekind和による表示を与えた。ここで得られたコサイクルの性質から、Dedekind和の相互法則などの性質が導き出される。1990年代後半になると、S. Fukuharaは保型形式、一般Dedekind和、周期多項式の3つの空間の間に同型対応があることを示し、Dedekind和、ApostolのDedekind和とEisenstein級数との関係を明らかにした。さらに、これらの同型対応を利用して、保型形式への応用を与えた。 当該研究では、申請者が導入した標数正のDedekind和と保型形式、L-関数、コホモロジーとの関係を明らかにして、まだ解明されていない基礎的な問題を解決する。 平成29年度は、前年度の関数体上の一般化Dedekind和の研究成果からアイデアを得て、有限体上で一般化Dedekind和を導入した。その結果、Lambert級数の有限体類似を発見して、一次分数変換による変換公式を確立した。また、Dedekind和の研究を通じて得られたコタンジェント関数の性質を利用して、コタンジェント関数に関するChowlaの定理の関数体類似を証明することができた。応用として、周期的係数をもつ関数体上のDirichlet関数に対して、Baker-Birch-Wirsingの定理の類似を確立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、期待以上の研究成果を得ることができ、次の研究問題に取り組んでいるから。
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Strategy for Future Research Activity |
関数体上のLambert級数を保型形式論の見地から研究していく。また、周期的係数をもつ関数体上のDirichlet級数を、前年度に引き続き調べていく。これらを遂行するために、Dedekind和の研究者であるA. Bayadを訪問して、研究打合せを行う。
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Causes of Carryover |
(理由)国外の研究者との研究打合せのために旅費を使うつもりでいたが、研究が予想以上に進み、新しい研究成果が得られたので、研究打合せのための出張をしなかった。
(使用計画)国外の研究者との研究打合せのために旅費を使う。
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