2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K04804
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
木村 達雄 筑波大学, 数理物質系(名誉教授), 名誉教授 (30022726)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 概均質ベクトル空間 / 正則概均質ベクトル空間 / 既約相対不変式が唯一つ |
Outline of Annual Research Achievements |
作用する群が簡約可能代数群であるような概均質ベクトル空間で相対不変式が唯一つのものを基本的概均質ベクトル空間と仮に名づける。これは1変数の解析的な関数等式を満たすゼータ関数を構成する佐藤幹夫ー新谷卓郎の理論が適用出来る重要な空間であるので、基本的概均質ベクトル空間を出来るだけ多く見つけることは数学的に意味がある。基本的概均質ベクトル空間の裏返し変換により新しい基本的概均質ベクトル空間が得られるが、そのときゼータ関数がどのように変換されるかは新谷卓郎氏によって明らかにされているので、裏返し変換で移りあう空間で一番次元が低いもの、すなわちreducedなものだけを求めれば良い。既約正則概均質ベクトル空間はその例を与えるが、既約でないものの例はあまり知られていないので、まずは既に分類された概均質ベクトル空間の中から、その条件を満たすものを探すということから研究を始めた。 単純概均質ベクトル空間は良く調べられているので、そこから探すのは容易であるが、ある意味で既約の場合に帰着できるものばかりで本質的に新しいものとは言えない。Type I の2単純正則概均質ベクトル空間も一般点の等方部分が計算されているので、探すのはそれほど難しくなくいくつか新しいものが得られた。主な研究は Type II の2-単純概均質ベクトル空間の中から基本的なものを探し出すことであるが、これは殆どの場合に一般点の等方部分群が決定されていないので、どれが正則概均質ベクトル空間かすらわかっていない。この空間についてかなり研究したが、まだ全部は完成していない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
我々の研究対象の概均質ベクトル空間は作用する群は簡約可能代数群であるが、既約成分が2個以上ある場合は、最初の既約成分での等方部分群は一般に簡約可能代数群ではない。したがって現在分類されていない群であり、リー環の形で直接与えられるが、とくにパラメーターを含む場合などは複雑さが増す。そしてその群が残りの成分に作用して最終的に一般点の等方部分群が簡約可能代数群になるものを選び出さなければいけない。しかし簡約可能でない代数群が作用する空間の概均質性の判定は一般論が無いため、個別で調べなければならず、時として予想以上に計算に時間がかかることがある為、予定がやや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
とにかくまず2-単純で基本的な概均質ベクトル空間の決定をする。これは時間がかかる可能性があるが、必ず出来ると思う。そして今まで得られた相対不変式がただ一つの正則概均質ベクトル空間にはいくつかのパターンがあるので、逆にそのパターンのものを調べていくのは有効な手段だと思われる。 更に最近佐々野氏が、リー環に埋め込んだ場合のこのような空間の特徴付けを発表したので、その理論が実際の分類に使えるかどうかを調査する。とにかく我々が分類しようとしている空間は大変良い性質を持つものなので、例え完全な分類が出来なくても、少しでも多くの例が見つかるだけでも意味があるので、その観点からも、少しでも多くの例を探す方向で研究を推進する。
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Causes of Carryover |
予定されていた研究会が延期されたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ドイツやアメリカに出張の予定
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