2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K04806
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
酒井 文雄 埼玉大学, 理工学研究科, 名誉教授 (40036596)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 代数曲線 / ゴナリティ / ワイエルシュトラス点 / 巡回被覆曲線 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.射影直線の巡回被覆曲線のゴナリティが4になる場合の研究を進めた.ゴナリティが3になる場合(トリゴナル曲線)は研究協力者の王楠氏による分類結果があり,その論文で使われた結果を用いることで,ゴナリティが4になる曲線の有力候補を決定した.それ以外にゴナリティ4の曲線があるかどうかについては,現在の所不明である. 2.射影直線の巡回被覆曲線の分岐点の構造に関する研究を進めた.射影直線の d 次巡回被覆曲線の分岐点に関して,巡回被覆写像の固定点の個数 b が5以上であれば,分岐点はワイエルシュトラス点であるというJ.Lewittes による結果があり,2006年には Perez Del Pozo により,固定点Pのワイエルシュトラス重み w(P) の下からの評価式が得られていた.研究協力者の王楠,川崎真澄氏との共同研究により,w(P) が下限に等しい場合を研究し,それらの曲線を分類することに成功した.分類結果はbが偶数の場合と奇数の場合では異なるが,それぞれ分岐指数を特定することで分類した.成果を論文にまとめ,現在投稿中である.射影直線の d 次巡回被覆曲線の微分形式の基底を適切に選択することにより,固定点Pの重み w(P) を計算するアルゴリズムに到達した.その計算とEichler跡公式を援用することにより,分類はある種の組み合わせ論的整数論の結果に帰着されることが判明し,その部分はChowlaの定理を用いて解決した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の射影直線の巡回被覆曲線に関する基礎研究が進展した.まず,ゴナリティが4になる曲線の候補を記述できたことで,種数が10以下の場合に限れば,残った数種類の曲線を解析すれば良いことになった.また,射影直線の巡回被覆曲線における分岐点のワイエルシュトラス空隙列の研究が進んだことで,こちらの方面からの研究も期待できることになった.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,射影直線の巡回被覆曲線について,ゴナリティ4の場合を重点的に研究する.特に,種数が7や週数8の場合を重点的に考察したい. 射影直線の巡回被覆曲線の分岐点Pの高次ワイエルシュトラス重みについても研究を進める.高次ワイエルシュトラス重みについても高次微分形式の適切な基底を選択することにより,重みを計算するアルゴリズムを得ることが出来ると思われる.それらを応用して,射影直線の巡回被覆曲線の構造を研究したい.微分形式空間の被覆写像に関する固有値分解が重要な役割を果たすことが分かってきたので,高次微分形式空間の固有値分解も併せて考察して,いろいろ特徴的を持った曲線を研究するこにも挑戦したい.
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Causes of Carryover |
出席すべき学会が近郊で行われたことや、物品の購入が十分にできなかったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外から研究者を招聘して、共同研究をする予定である。
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