2019 Fiscal Year Annual Research Report
Geometry of log abelian varieties and its application
Project/Area Number |
15K04811
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
梶原 健 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (00250663)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 対数構造 / 退化多様体 / アーベル多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アーベル多様体のモジュライ空間において、適切な退化対象を対数幾何学のなかに見い出し、対数アーベル多様体論を構築し、この方面の研究への応用を目指している。本研究期間において、対数アーベル多様体の基礎として、乗法群を構造群とする主束の立方構造を確立した。また、従来のアーベル多様体の射影性を拡張して、対数アーベル多様体の射影性について研究成果を得た。具体的には、対数アーベル多様体が対数代数空間という、通常の代数多様体を拡張した対象であるため、この多様体は、代数多様体で表現されるモデルを用いて記述する。すなわち、このモデルは射影多様体にとれることがわかった。また対数アーベル多様体を、よいモデルから再構成する方法として、クンマーエタール表示を定式化した。これは、本理論の基礎として、アーベル多様体本来の群構造を生かしつつ、従来の幾何の手法を応用する上で、重要である。その応用として、対数アーベル多様体の代数幾何形式幾何対応が得られた。 モジュライ空間について、対数アーベル多様体の局所モジュライ空間を研究し、最終年度では、対数アーベル多様体の局所モジュライ空間を完成させ、さらに大域モジュライ空間の研究を進めた。本研究は代数空間の表現に関するアルチンの判定法を用いて進めるため、おもに対数アーベル多様体の変形理論を研究した。変形理論に関連して対数アーベル多様体の微分加群、およびその拡大やコホモロジー群の計算を進めることができた。 モジュライ空間のコンパクト化において、退化した適切な対象を抽出し研究することが重要である。またこのような対象とともに、コンパクトな多様体に関する 不変量等を用いて、モジュライ空間のコンパクト化から、モジュライ空間自身の研究に応用することが、コンパクト化の意義のひとつである。
|
Research Products
(1 results)