2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K04812
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
張間 忠人 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (30258313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和地 輝仁 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (30337018)
五十川 読 熊本高等専門学校, 共通教育科(八代キャンパス), 教授 (80223056)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 完全交叉 / レフシェッツ性 / ゴレンスタイン環 / 終結式 / Macaulayの双対元 / completely m-fullness / componentwise linearity |
Outline of Annual Research Achievements |
研究分担者の和地輝仁氏、研究協力者の渡辺純三氏との共同研究では、2つの論文をまとめ、海外の専門誌に投稿した。その内容は以下の通りである。 (1)体上の多項式環をRとする。AをR上有限平坦拡大とし、ファイバーの一般的なメンバーは完全交叉であると仮定する。このとき、各々のファイバーが完全交叉であるための必要十分条件は、Aの定義イデアルの生成元の終結式が非ゼロであることである。終結式は原理としては計算可能であるが、実際には、一般的な計算は、変数の数と次数が大きくなるため不可能である。この論文の主結果は、生成元が2項式である場合の終結式を決定したことである。 (2)斉次多項式と0次元ゴレンスタイン環の間には、一対一の対応があることが知られている。完全交叉はゴレンスタインであるが、完全交叉に対応する斉次多項式を見易い形で特徴付ける事は専門家の間では不可能な問題であると思われていたようだ。実際、長い間、この問題を扱った研究は皆無であった。この論文では、Aの生成元が一斉にd次であると仮定して、完全交叉環に対応する斉次多項式(Macaulayの双対元)を特徴付けることに成功した。 また、投稿していた論文のレフェリーレポートについて議論し、再投稿した結果、その改訂版が専門誌 Proc. Amer. Math. Soc. に掲載されることになった。 研究分担者の五十川読氏との共同研究では、正則列の一般化であるγ列およびγ-depthを体上の次数付ネーター可換代数の有限生成次数付加群に対して定義し、加群のγ-depthと環のdepthが一致する場合について考察した。その結果を、無限体上の多項式環の単項生成斉次加群に適用すると、斉次イデアルに関するcompletely m-fullnessとcomponentwise linearity の同値性が導かれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
完全交叉のレフシェッツ性問題に関連する研究成果として、今年度は、2次式完全交叉に関する2つの論文「Resultant of quadratic binomial complete intersection」と「A characterization of the Macaulay dual generators for quadratic complete intersections」をまとめ海外の専門誌に投稿した。また、学会で「The EGH conjecture and the Sperner property of complete intersections」、「対称群が作用する0次元完全交叉環の強いレフシェッツ性」と題して共同発表を行った。 また、斉次イデアルに関するcompletely m-fullnessとcomponentwise linearity の同値性について別証明を与えた。
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Strategy for Future Research Activity |
レフシェッツ問題は、単に可換環論だけの問題ではなく、多くの他分野に関わっており、他分野の研究者との意見交換、情報交換が必要である。従って、多くの研究会に出席し、情報収集、情報発信することにより、研究の進展が期待できる。また、これまで通り、研究分担者・研究協力者と適宜セミナーと研究打合せを密に行う。 完全交叉のレフシェッツ性問題については、対称群の作用をもつ完全交叉のレフシェッツ性について考察を続ける。一般元の振る舞いに関する問題では、3変数と4変数の多項式環におけるm-fullイデアルとcompletely m-fullイデアルについて考察を続ける。
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Causes of Carryover |
当初に計画していた出張予定に多少の変更が生じてしまい、未使用額が発生した。それについては、次年度に繰り越し、出張旅費等で有効に使用したい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の究極の目標は、標数ゼロにおいて、完全交叉は強いレフシェッツ性を有することを証明することである。これに関する2つの研究成果「Resultant of quadratic binomial complete intersection」と「A characterization of the Macaulay dual generators for quadratic complete intersections」について、研究分担者と研究協力者により、ストックホルムで開催される国際研究集会で発表する。また、これまで通り、研究分担者・研究協力者と研究打合せを密に行い研究を進める予定である。研究費はそのための旅費、さらに学会出張等の旅費として使用する。さらに、研究上必要な文献の購入も考えている。
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Remarks |
新潟大学研究者総覧ホームページ http://researchers.adm.niigata-u.ac.jp/search?m=home&l=ja
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Research Products
(2 results)