2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K04813
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
吉原 久夫 新潟大学, 自然科学系, フェロー (60114807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 浩雄 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (30211395)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 代数多様体 / ガロワ群 / 被覆 / 楕円曲線 |
Outline of Annual Research Achievements |
代数多様体のガロワ埋め込みの総合的研究を実施した。まず、n 次元代数多様体 V から n 次元射影空間 P へのガロワ被覆 f : V → P があるとき、いつこの被覆がガロワ埋め込みから惹き起されるかを判定する条件を求めた。それは、H を P の超平面とするとき、f*(H) が V の非常に豊富な因子になることである。この結果を利用していくつかの結論を得た。例えば、射影空間のガロワ埋め込みの研究では、n 次元射影空間を d 次の因子で埋め込んだ時、どのような群になるか、またガロワ部分空間はどのような配置になるかを決定することが大きな目標である。前者については、群を可換と仮定すると、群は d 次巡回群の n 個の直積であることが判明して、射影の構造も求まった。しかし、非可換のときは n = 1 のとき以外はまったく不明である。またガロワ部分空間の配置も未解決である。なお、同様の研究として、射影平面を blow-up して得られる曲面はほとんどの場合にガロワ埋め込みを持たない。視点を変えて、ファイバーをもつ曲面については比較的扱いやすいので、今後例えば楕円曲面のガロワ埋め込みの可能性について研究する予定である。他方、標題の研究テーマのうち、特別な場合として、楕円曲線に対して詳細に研究した。楕円曲線では3次の埋め込みは j = 0 のときのみガロワであり、この場合は易しい。しかし、4次になると空間曲線になりガロワ直線の考察となり、しかも j ≠ 1728 と j = 1728 とで異なる。前者のときは群はクラインの四元群で、ガロワ直線は四面体の辺を構成する6本の直線であるが、後者の場合はそれに加えてガロワ群が 4 次巡回群の8本の直線が加わる。それらすべての配置まで決定していたのであるが、証明にギャップがあったのでそれを修正して配置問題を完成させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ガロワ埋め込みの可能性については、曲線のときと2次元以上とでは大きな違いが起こる。すなわち、双有理同値でも2次元以上ではガロワ埋め込み可能な場合と不可能な場合があり、それの判定の条件を見つけるのが困難でこれを解決するのに手間取りやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、射影平面を blow-up して得られる曲面について、詳細にガロワ埋め込みの可能性を検討する。blow-up は何回で埋め込み可能になるか?あるいは blow-up するときの点の配置はどうなのか?などに焦点をしぼって検討する。そしてその結果を一般の曲面の場合に当てはめてみる。
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Causes of Carryover |
招聘予定の外国人研究協力者の都合が悪く来日できなかったこと、および連携研究者が代数幾何学関係のシンポジウムに日程の都合上出席できなかったことが理由である。 今年度の使用計画として外国人研究協力者の都合に合わせて招聘の日程を組む。また、連携研究者は複数いるので、都合のつく方がシンポジウムに出席し当該研究の成果を発表する。
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Remarks |
ガロワ点やガロワ埋め込みとその周辺の研究成果が公表されている。さらに関連する未解決問題約 70 題も提出されている。
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