2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K04817
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
川口 周 同志社大学, 理工学部, 教授 (20324600)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 非アルキメデス幾何 / 代数・数論力学系 |
Outline of Annual Research Achievements |
代数曲線の古典的な結果に以下がある.種数が g の非特異射影曲線 X 上の直線束 L に対して,L の次数が 2g + 1 以上であれば,L の大域切断によって,X を射影空間に埋め込むことができる.この古典的な結果の非アルキメデス的な類似の研究を,山木壱彦氏と共同で進めた.K を代数閉な非アルキメデス付値体とし,X は K 上で定義されているとする.このとき,ベルコビッチの意味での X の解析化を考え,その中にスケルトンを任意にとる.このとき,L の大域切断によって,スケルトンが忠実にトロピカル射影空間に埋め込めるかどうかを調べた.この内容を,東大数理で2016年1月に行われた研究集会 "Arithmetic and Algebraic Geometry 2016" で講演する機会に恵まれた.現在,論文として取りまとめ中である.また,代数・数論力学系に関して,米国ブラウン大学で2015年8月に行われた,Silverman 教授の還暦記念集会で,plenary speaker として講演するという栄誉にあずかった.研究集会の企画に関しては,京大数理研の合宿型セミナーとして 2015年9月に行われた「アラケロフ幾何とその周辺」の local organizers の一員を務めた.また,2016年3月に京都大学で行われた研究集会「Tropical Geometry and Related Topics」の organizers の一員を務めた.いずれの研究集会も,海外から関連分野の代表的な数学者の参加を得ることができ,非常に良い研究集会となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年に同志社大学に移り,さまざまな業務の中で,どうやって研究時間を確保するかが課題ではあるものの,研究実績の概要に述べたように,忠実トロピカル化に関する研究が進展しているため.
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Strategy for Future Research Activity |
8月に中国・天津で行われる 6th East Asia Number Theory Conference や,9月にドイツの Regensburg で行われる Arakelov 幾何の研究集会に参加する予定である.これらの国際研究集会で,他の参加者と議論をして研究の進展を図りたい.
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Causes of Carryover |
2015年に同志社大学に移り,当初,科研費で購入する予定であった計算機などを,同志社大学の経費によって購入することができたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
数学の研究においては,関連分野の数学者と議論することが重要である.関連する研究集会に参加して,他の参加者との議論をすることで,研究を進めたい.
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