2016 Fiscal Year Research-status Report
lifting加群の直和分解に関する研究とその応用
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15K04821
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
倉富 要輔 山口大学, 創成科学研究科, 准教授 (60370045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 良始 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (10201724)
小池 寿俊 沖縄工業高等専門学校, 総合科学科, 教授 (20225337)
菊政 勲 山口大学, 創成科学研究科, 教授 (70234200)
大城 紀代市 山口大学, その他部局等, 名誉教授 (90034727)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | lifting module / 直既約分解 / exchange property / H-supplemented module / (semi)perfect ring / quasi-discrete module / dual square free |
Outline of Annual Research Achievements |
lifting加群はその双対であるextending加群と共に、様々な環の構造研究に応用されている重要な加群であり、1980年代から国内外の多くの研究者によって研究され、膨大な研究成果が報告されている。しかし、これらの加群についていくつかの基本的問題が未解決のまま残されている。本研究では、未解決問題の一つである「lifting加群は直既約分解をもつか?」という問題の解決を目指して研究を遂行している。 加群の直和分解において自然に導入される「finite internal exchange property(略してFIEP)」という性質があり、「すべてのlifting加群がFIEPを満たすか?」という問題も現在未解決である。研究代表者は、この問題と本研究で扱う未解決問題との関連性を調べ、2016年にCommunications in Algebraで発表した"H-supplemented Modules and Generalizations of Quasi-discrete Modules"という論文の中で、「FIEPをみたすlifting加群は直既約分解をもつ」という結果を報告した。現在、この結果を応用する形で、未解決問題解決への糸口がないかを探っているところである。 平成28年度は、完全環上のFIEPをみたすある種のlifting加群についての研究を行った。上記の結果から、この加群は直既約分解をもつことは明らかであるが、ここでは各直既約因子の構造を調査し、「直既約因子で同じ射影被覆をもつものは同型である」ことを示した。この結果を応用すると、「完全環上のある種のlifting加群は、準射影加群とdual square free加群の直和としてユニークに分解される」という興味深い結果が得られる。これらの研究成果は現在投稿中の論文で紹介している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の主な目的は、関連する環の構造が(直既約)lifting加群の直和にどのような影響を与えるかを調査し、その構造を明らかにすることであった。 一般に、完全環上の直既約lifting加群は同じ射影被覆を持つとしても同型であるとは限らないが、完全環上のある種のlifting加群においては、その直既約因子として現れる直既約lifting加群が同じ射影被覆を持てばそれらは同型であることが分かった。この結果を応用すると、そのような加群は、準射影加群とdual square free加群の直和としてユニークに分解されることが示される。 このように、予定していた平成28年度の研究目的について一定の研究成果を得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の研究において、ある種のlifting加群は準射影加群とdual square free加群の直和で表わされることが分かった。 平成29年度は、これまでの研究成果を生かして、関連する環の構造がlifting加群やdual square free加群にどのような影響を与えるかを調査する。 今年度は研究分担者だけでなく海外の研究協力者とも情報・意見交換を行いながら研究を遂行する。
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Causes of Carryover |
旅費において格安チケットが予定より安価で購入できたことと、今年度旅費の一部を次年度の旅費として使用したいため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の必要物品購入費および旅費に充てる。
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Research Products
(6 results)