2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K04825
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
村上 雅亮 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (10378599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 慎一 東北大学, 理学研究科, 准教授 (90647041)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 一般型代数曲面 |
Outline of Annual Research Achievements |
代数曲線束構造の研究は代数曲面論の中心に位置する.本研究はカタネーゼ=ピニャテッリによって得られた新しい方法を拡張し,それを代数曲面論のいくつかの問題に応用することを目標としている.以下は研究代表者の分の本年度実績のみについて記す.本年度はひきつづきファイバーの種数の低い場合の構造定理もしらべたが,前年度に第 1 Chern 数 9, 構造層の Euler 数 5 のある種の一般型曲面について構造定理を得たので,前年度報告書記載の研究計画にしたがって,この代数曲面のモジュライ空間および標準写像の振る舞いを調べた.モジュライ空間については34次元の単有理多様体であることを示すことができ,標準写像の振る舞いについては,像の上に双有理(一般の場合)か,2 対 1(特殊な場合)となることを示すことができた.また 2 対 1 の場合については,いくらかの制限のもとに分岐因子の様子を記述することができた.この曲面は幾何種数が 4 となるが,幾何種数 4 の一般型曲面は標準写像の振る舞いの観点から興味深い対象として古くから研究されて来た.上の結果はこの流れのなかに位置し,まだ未解決の Chern 数 9 の場合の分類に部分的な結果を与えるものである.この方面のなかにカタネーゼ=ピニャテッリの結果を応用してみせたことからも,それなりの意義を有するものと考える.また標準写像が双有理となる場合については,今野一宏氏による 3次元射影空間内の正規標準曲面の研究のなかで見つかっていなかった例を埋めるものとなっていることも判明し(今野一宏氏の指摘),その方向でも意義を有する.これらの結果についてはイタリアのチェトラーロで行われた国際研究集会で講演するとともに,日本数学会の2019年年会でも報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ファイバーに現れる曲線の解析が想定より難しく,もともとの曲線束構造の分についてはまだ大した進展が得られていない.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きファイバーの種数が低い場合を調べる.一方,上にのべた種数 4 の曲面の研究のなかで,今までに得られている部分的結果を応用することができたので,この方向でより一般の場合の幾つかの代数曲面で応用を試す.
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Causes of Carryover |
Cetraro (イタリア)への出張で一部分研究打ち合わせがすすみ,当初計画していた Bayreuth 大学(ドイツ)への出張を次年度に延期したため残額が発生した.この残額は Bayreuth への出張か,Bayreuth 大学の I. Bauer 氏の鹿児島への招聘にあてる予定.
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Research Products
(8 results)