2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K04826
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
黒田 茂 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (70453032)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 多項式環 / 多項式自己同型 / 順部分群 / 余順自己同型 / 安定余順自己同型 / 標数位数自己同型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主要なテーマの一つは,多項式環の自己同型群の構造を解明するために,様々な部分群について研究を行うことである.平成27年度は主に「順部分群」と関係が深い「余順自己同型」や「安定余順自己同型」に関する研究を行った.多項式環の自己同型Fが余順であるとは,Fとアフィン自己同型で生成される部分群に,順部分群が含まれるときにいう.この概念はE. Edo氏により導入されたもので,自己同型群の部分群の研究への応用が期待される.しかし,余順自己同型は扱いが難しく,不明な点も多い.そこで,「順自己同型」の一般化として「安定順自己同型」が重要な役割を果たしていることに着目し,新たに「安定余順自己同型」の概念を導入した.そして,一般の可換環R上の多項式環の自己同型が安定余順であるための条件について詳細な結果を得た.特に,Rが無限体を含むとき,この結果は自己同型が安定余順となるための必要十分条件を与える.安定余順自己同型は余順自己同型の簡便な代替物として様々な応用を持つことが期待できる. 昨年度に引き続き,素標数の可換環上の標数位数自己同型の研究も行った.この研究で培った技法を用いて,Rが無限体を含まない場合にR上の多項式環の安定余順自己同型を組織的に構成するための方法を与えた. 9月に吉林大学を訪問し,標数位数自己同型について連続講演を行い,X. Du氏やX. Sun氏らと議論を交わした.また,8月と2月に多項式環論セミナーを開催し,連携研究者を中心に国内外の関連分野の研究者と情報交換や議論を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
余順自己同型の概念の拡張として,新たに安定余順自己同型の概念を導入し,自己同型が安定余順となるための詳細な条件を得ることに成功したため.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に引き続き,国内外の関連分野の研究者たちと情報交換や議論を行いながら研究を進める.自己同型群の構造に関する結果の応用可能性についての検討も行う.
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Causes of Carryover |
研究の展開の方向性等を考慮し,海外渡航や海外からの研究者の招聘を見送ったため残額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外渡航や海外からの研究者の招聘,研究集会開催のために使用する.
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