2015 Fiscal Year Research-status Report
ガウス写像の値分布論の進展とそれに基づく曲面の大域的性質の研究
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15K04840
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| Research Institution | Kanazawa University |
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Principal Investigator |
川上 裕 金沢大学, 数物科学系, 准教授 (60532356)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | ガウス写像 / 極小曲面 / ラグランジアン曲面 / 全曲率 / 極大曲面 / 解析的拡張 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は，空間内の曲面の大域的性質を調べる方法として，ガウス写像の像の性質と曲面の形状との関係を明らかにし，その応用を与えることである。本年度は主に次の２つの進展があった。１つは，複素２次元空間内の完備極小ラグランジアン曲面のガウス写像の値分布の研究の進展である。相山玲子氏と芥川和雄氏との共同研究により，複素２次元空間内の完備極小ラグランジアン曲面のガウス写像の除外値数の上限が“３”であること，また有限全曲率完備の場合はその上限が“２”となり，さらにその結果が最良であることを明らかにした。また，ガウス写像の除外値数が“３”の場合，他の値は無限回値を取ることも証明することはできた。これは，ガウス写像版のピカールの大定理にあたるもので値分布論的性質として非常に興味深い結果である。もう１つは，３次元Lorentz-Minkowski空間内の完備極大面の具体例の構成と解析的拡張の研究の進展である。梅原雅顕氏，山田光太郎氏，Wayne Rossman氏，國分雅敏氏，藤森祥一氏との共同研究で，３次元Lorentz-Minkowski空間内のJorge-Meeks型極大曲面が固有に埋め込まれた平均曲率0の曲面に解析的拡張されることおよび同様な特徴をもつ曲面（小林曲面）の例の構成と分類を行った。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の段階で１年目に予定していた課題を解決することができた。また，その研究をもとに新たな課題と研究の進展が期待され，本研究のさらなる進展が期待できるから。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後推進していく研究として次の２つを考えている。１つは，４次元ユークリッド空間内の完備極小曲面のガウス写像の像の性質の研究である。１年目で得られた，複素２次元空間内の完備極小ラグランジアン曲面のガウス写像は，実４次元空間内の曲面として考えれば，完備極小曲面の特別なクラスにあたる。そこで研究代表者は，４次元ユークリッド空間内の完備極小曲面のガウス写像の像の性質について，幾何学的視点から統一的な理解を与えたいと考えている。もう１つは，３次元ユークリッド空間内の完備極小曲面の新しい値分布論的性質の研究である。藤本坦孝氏は，ネバンリンナの結果をガウス写像により一意性定理を示したが，その精密化にあたる重複度込みの一意性定理はまだ示されていない。この結果を，複素平面の有理型関数における結果との関係から明らかにしたいと考えている。
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