2016 Fiscal Year Research-status Report
双曲多様体とその変形空間へのローレンツ幾何的アプローチ
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15K04841
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
糸 健太郎 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 准教授 (00324400)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 双曲幾何 / ローレンツ幾何 |
Outline of Annual Research Achievements |
双曲幾何を定曲率擬リーマン多様体の枠組みで研究すべく,その土台作りに励んだ.定曲率擬リーマン空間の中でも特に反ド・ジッター空間(AdS空間)は,近年,双曲幾何との関係において研究が盛んになっている.このことはMessによるThurston's Earthquake TheoremのAdS幾何を用いた別証明に一つの起源を持っている.すなわち,双曲平面の地震変形が3次元AdS空間のbendingに対応しているのである.私の研究の動機の一つは,この地震変形を複素地震変形に一般化したときに,それに対応する擬リーマン幾何の対応物は何かを明らかにしたいというものである.そのために,3次元AdS空間SL(2,R)の理論をSL(2,C)の理論に一般化することを考え,基礎的な理論の構築に努力した.その研究の一環として,平成28年11月には宮地秀樹氏(大阪大学)と共同で勉強会「双曲幾何とAdS空間」を開催し,3次元AdS空間と2次元双曲幾何の関係を述べたBonsante-Schlenkerらの理論を精査した.また,定期的に研究員の椋野純一氏,博士課程の藤野弘基氏とAdS空間に関するセミナ-を行った.さらに,当該研究とツイスター理論との関係に注目して,浜中真志氏(名古屋大学)と共同でツイスター理論の専門家である中田文憲氏(福島大学)を講師に招いて,インフォーマルな集中講義を開催した.また平成28年6月にはアメリカのメリーランド大学で行われた研究集会 Geometries, Surfaces and Representations of Fundamental Groups に参加し,情報交換および情報収集を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度までに研究を行う基礎固めが出来たので,次年度は上述の研究に専念できるものと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
SL(2,C)の理論については次年度中に,セミナー等で発表できる形にしたいと考えている.また次年度もしくはその翌年に,宮地秀樹氏(大阪大学)と共同で,AdS勉強会の2回目を開催したい.
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Causes of Carryover |
差引額は,年度中に無理して使うことなく,繰り越して次年度に有効に使うことにした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
図書費および出張費.
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Research Products
(3 results)