2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K04845
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
Rossman W.F 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50284485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
直川 耕祐 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (60740826) [Withdrawn]
佐治 健太郎 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70451432)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 離散的微分幾何学 / 離散曲面 / 半離散曲面 |
Outline of Annual Research Achievements |
私は離散曲面について二つの研究を行い、一つ目はUdo Hertrich-Jeromin氏(オーストリアのウィーン工科大学)とFran Burstall氏(イギリスのバース大学)とSusana Santos氏(ポルトガルのリスボン大学)と共同で「離散線形ワインガルテン曲面の多項式保存量」について研究し、これらの離散曲面の特徴付けを行った。この研究はその三人との以前の研究(多項式保存量を持つisothermicな曲面の性質に関する研究)の続きである。二つ目は安本 真士氏(神戸大学)との共同研究で、「離散曲面の特異点」について調べた。この研究により、離散線形ワインガルテン曲面が一般に特異点をもつことを示した。一方で、私はUdo氏とFran氏とChristian Mueller氏(ウィーン工科大学)と共同で、可積分系の変換理論を応用して、先行研究で与えられていた半離散双等温曲面の再定式化を行った。これにより、先行研究で与えられたクラスを含む、任意の3次元リーマン空間型内の半離散双等温曲面を取り扱えるようになった。また離散曲面に特異点の概念を与え、離散曲面に現れる特異点を具体的に解析した。これは以前、Hoffmann氏、佐々木氏、吉田氏との共同研究で得られた結果を一般の離散曲面にも適用できるように改良を加えたものであり、これにより今後の特異点を持つ離散曲面の研究の新たな方向性を与えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
離散曲面は微分構造を持たないので、「微分」に代わる代替的な手法を考え、離散曲面の曲率や接構造を定義しなければならない。特に、なめらかな場合の「曲率の性質」を保つ離散化は離散曲面論において非常に重要である。上述のUdo Hertrich-Jeromin氏、Fran Burstall氏、Susana Santos氏との共同研究で、我々は多項式保存量によって離散線形ワインガルテン曲面の曲率の性質を定式化した。この手法はより広いクラスの離散曲面に対し応用可能であり、将来的な研究に寄与していくと考えている。この研究成果は学術雑誌「Geometriae dedicata」において出版された。 また、近年、日本の研究者による微分幾何学と特異点の関連について多くの研究が存在するが、同様の結果が離散曲面の場合に存在するかを調べることは重要である。安本氏との共同研究により、離散曲面論と特異点論の関連がわかり、「離散曲面の特異点論」という新しい研究分野の創出を行った。この研究についても、現在、論文投稿を行っており、「福岡大学微分幾何研究会」にて講演を行った。 一方で、半離散曲面は離散曲面となめらかな曲面の繋がりや違いを示す幾何学的対象である。上述のUdo Hertrich-Jeromin氏とFran Burstall氏とChristian Mueller氏との共同研究の中で、我々は、半離散曲面が「なめらかな曲線の離散的なダルブー変換」で構成できることを示した。この結果により、離散曲面となめらかな曲面の繋がりと違いついて研究が進歩すると期待される。この研究成果は学術雑誌「Geometriae dedicata」において出版された。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究計画として以下がある: 1)Udo Hertrich-Jeromin氏とTim Hoffmann氏(ミュンヘン工科大学)と共同で、ベルリン工科大学の研究グループが定義した「S-双等温曲面」の幾何学的性質の研究を行う。 2) 安本氏と共同で、半離散曲面の場合にも離散曲面と同様に「特異点」が定義できるか研究し、理論の構成を行う。また、半離散線ワインガルテン曲面に対して特異点論を応用する。 3) Udo Hertrich-Jeromin氏とGudrun Szewieczek氏(ウィーン工科大学)と共同で、離散曲面論を用いて「離散三重直交系」の研究を行う。離散三重直交系の理論により、Guichard曲面の離散化が構成できると期待される。 4)梅原 雅顕氏(東京工業大学)と山田 光太郎氏(東京工業大学)と共同で、非ユークリッド空間内の曲面の大域的挙動や特異点の性質について研究を継続する。この研究を契機として、離散曲面や半離散曲面の研究の進展にも生かせればと考えている。
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Causes of Carryover |
旅費の誤差(480円)があったので。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
また次年度の旅費に加えて使用する予定です。
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Research Products
(6 results)