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2018 Fiscal Year Research-status Report

非コンパクトなシンプレクティック多様体における安定曲線モジュライの倉西構造の構成

Research Project

Project/Area Number 15K04850
Research InstitutionTokyo Metropolitan University

Principal Investigator

赤穂 まなぶ  首都大学東京, 理学研究科, 准教授 (30332935)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2020-03-31
Keywordsシンプレクティック多様体 / ラグランジュ部分多様体 / フレアー理論 / モース理論
Outline of Annual Research Achievements

本研究課題はシンプレクティック幾何学におけるフレアー理論に関する研究である。特に当該年度は、閉シンプレクティック多様体上の周期的ハミルトンベクトル場の周期軌道の存在に関する研究と(それとは独立な内容である)境界付き多様体上のモース理論についての研究を行った。まず前者については、その背景としてグロモフによる周期的ハミルトンベクトル場の周期軌道の存在定理の証明がある。元々のグロモフによる証明は、標準的な2n次元シンプレクティックベクトル空間R^2n内の閉ラグランジュ部分多様体Lには、Lに境界値を持つ非自明な正則円盤が存在するという事実が用いられ、その証明は非常に技巧的で間接的なものであった。しかしここでは摂動コーシー・リーマン方程式の解の発散列をモジュライ空間の議論を用いて構成することにより、より直接的な証明を与えることに成功した。また、後者の境界付き多様体上のモース理論に関しては、従来通りgradient treeのモジュライ空間の各strutaに関する組み合わせ的な情報を調べることにより、境界付き多様体のモースホモロジーにおける高次の積構造についての考察を行った。これは凹型のエンドを持つシンプレクティック多様体におけるルジャンドルエンドを持つラグランジュ部分多様体のフレアー理論のトイモデルであり、フレアー理論に現れると予想されるA無限大代数の高次の積構造を知る上でのとても重要な手がかりになるものと考えている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究課題は、凹型のエンドを持つ非コンパクトなシンプレクティック多様体におけるラグランジュ部分多様体に境界値を持つ、安定曲線のモジュライ空間の倉西構造の構成である。進度としては非常に緩やかではあるが、おおむね順調に進展している。まず、安定曲線の定義域であるリーマン面が境界を持たない場合は、京都大学の石川卓氏により一般化されたシンプレクティック場の理論として完成している。リーマン面が境界を持ち、安定曲線がラグランジュ部分多様体に境界値を持つ場合も、解析の技術的な点に関しては石川氏の仕事を参考にすれば良いが、定義域となるリーマン面のモジュライ空間をどのように構成すれば良いかが、まだ確信が持てずにいる。恐らく、少なくともリーマン面の種数が0の場合は、Fukaya-Oh-Ohta-Onoがアーノルド・ギベンタール予想の証明で用いた種数0の境界付きリーマン面のモジュライ空間とRobbin-Salamonの安定曲線のモジュライ空間を参考にすれば良いと予想しているが、これが組み合わせ的にかなり複雑で、まだ二の足を踏んでいる状態である。そこで手がかりを得るために現在、そのトイモデルである、境界付き多様体上のモース理論の研究に取り組んでいる。この場合はすでに交叉積の定義は済んでおり、次は高次の積の構成であるが、これにはgradient treeのモジュライ空間のより詳しい組み合わせ的な構造を調べる必要があり、今後の課題である。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究の推進方策としては、引き続き境界付き多様体のモース理論を考察するとともに、定義域を種数0の境界付きリーマン面とし、ラグランジュ部分多様体を境界値に持つ、安定曲線のモジュライ空間の倉西構造の構成を模索する。そのためにまず(現在までの進捗状況でも述べた)Fukaya-Oh-Ohta-Onoによるアーノルド・ギベンタール予想の研究で用いられた種数0の境界付きリーマン面のモジュライ空間とRobbin-Salamonの安定曲線のモジュライ空間を詳しく調べるとともに、シンプレクティック多様体が凹型のエンドを持つ非コンパクトの場合に、安定曲線が無限遠に発散する様子を詳しく調べる。そしてそれをもとに凹型のエンドを持つシンプレクティック多様体における、ルジャンドルエンドを持つラグランジュ部分多様体におけるフレアー理論に現れる代数構造を推測し、その構成を目指したい。

Causes of Carryover

本研究課題であるシンプレクティック幾何学は、近年目覚ましい発展を遂げており、特にアジアでも若手研究者が順調に育ちつつある。現在、韓国のC.-H. Cho氏と台湾のR. Chiang氏と共同で、2019年の9月下旬に台湾でシンプレクティック幾何学の研究集会を開催する方向で準備を進めている。その際、日本からの参加者に旅費の援助を行う予定であり、それに本補助事業の一部を当てるため、期間の延長を申請し、承認された。

  • Research Products

    (1 results)

All 2018

All Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results)

  • [Presentation] Simplified proof of Gromov's theorem2018

    • Author(s)
      赤穂まなぶ
    • Organizer
      NCTS Symplectic Expedition: Floer theory and beyond, Kenting Young Activity Center
    • Int'l Joint Research / Invited

URL: 

Published: 2019-12-27  

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