2015 Fiscal Year Research-status Report
リーマン多様体内の1次元弾性体の数学的モデルとその応用
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15K04863
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
川久保 哲 福岡大学, 理学部, 助教 (80360303)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | キルヒホッフ弾性棒 / 弾性曲線 / 変分問題 / 渦糸 / 局所誘導階層 / ソリトン曲線 / 変形KdV方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,昨年度に引き続き,ソリトン曲線について研究を行った.ソリトン曲線とは,局所誘導階層の各発展方程式に付随する定常方程式の解のことであり,可積分系の観点からのキルヒホッフ弾性棒の自然な一般化であると考えられる.昨年度は,3次元ユークリッド空間内において,周期的な第4ソリトン曲線の族を構成した.これらは,回転トーラスに巻きつくような曲線となり,円柱座標の成分がヤコビの楕円関数で陽に表される.ここで得られた曲線は,全てフレネ捩率が一定のものであった. 今年度は,フレネ捩率が一定ではないような第4ソリトン曲線の例を構成した.証明は,通常のフレネ枠ではなく,自然枠(つまり法接続に関して平行な正規直交枠)を用いて行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の目標の一つは,3次元ユークリッド空間内の第4ソリトン曲線の幾何的性質をより詳しく調べることであった.これに関しては,上に述べたように,フレネ捩率が一定ではないような第4ソリトン曲線の例を構成することができた.そのため,研究はおおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
上に述べたように,平成27年度は,フレネ捩率が一定ではないような第4ソリトン曲線の例を構成することができたが,今後の課題の一つは,この曲線族の中に周期的なものが存在することを証明することである.また,3次元球面内や3次元双曲空間内の第4ソリトン曲線については,まだほとんど調べられていないが,これについて研究することも課題の一つである.
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Causes of Carryover |
当初は,平成28年3月にウド・ヘルトリッヒ・イェロミン教授と討論を行うため,ウィーン工科大学(オーストリア)を訪問する計画であったが,研究代表者自身の研究機関の変更などの都合により,渡航を中止した.そのため,未使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ウィーン工科大学(オーストリア)のウド・ヘルトリッヒ・イェロミン教授,又は,研究代表者の研究内容と関連の深い他の研究者と討論を行う予定である.平成27年度の未使用額は,これを行うための旅費として使用する.
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