2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K04869
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
斎藤 敏夫 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (90397670)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 3次元多様体 / 無限複体 / 結び目 / Heegaard分解 / デーン手術 / タングル分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.3以上である任意の自然数nに対して,本質的自由タングルが入れ子になっているようなn糸タングルを構成した。応用として,本質的なn糸自由タングル分解をもつ結び目で,(2n-3)個の異なる本質的タングル球面を許容するようなものの具体例を構成することに成功した。本結果は,「本質的な2糸自由タングル分解をもつ結び目の本質的タングル球面は一意的である」という小沢誠氏(駒澤大学)により得られていた定理が一般には成立しないことを示している。
2.矯飾的手術予想の解決へ向けて市原一裕氏(日本大学)と共同研究を行った。当該年度においては,コンウェイ表示[2x,2-2x,2x,2,-2x] (ただし,xは2以上の自然数)で表される2橋結び目のデーン手術により得られるホモロジー3-球面は互いに異なることを証明した。本結果の証明にあたっては,キャッソン不変量,τ不変量,ヒーガード-フレアホモロジーにおける補正項といった不変量では不十分であったが,SL(2,C)キャッソン不変量を用いることにより,その証明に成功した。
3.2014年に得ていた,結び目とタングルのトンネル数に纏わる関係式について,絡み目への拡張を試みた。成果として,タングルに含まれるループ成分数で補正することで,既知のものと同様の関係式を得ることに成功した。特に,結び目のタングル分解においてはループ成分が存在しないので,本結果は既存の結果の自然な拡張になっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で挙げたもののうち,1.については既に研究論文が学術雑誌に掲載されている。また,2.においては学術雑誌に投稿中である。さらに,まだ具体的な成果は表れていないものの,Bachmanにより提唱された,曲面に対する円板複体(disk complex)を巧みに利用した新たな概念と一般Heegaard分解の複雑度との関係解明へ向けた取り組みも始めていることから,本研究課題の進捗状況は「おおむね順調に進展している」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り,Bachmanによる新概念と一般Heegaard分解の複雑度との関係解明に努めるとともに,弱Heegaard分解の複雑度と3次元多様体の幾何的性質との関係性にも焦点を当てた研究を実施する。本研究の目的達成のため,カリフォルニア大学サンタバーバラ校での研究滞在を実施予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画および研究進捗状況に鑑みて,当該年度にける海外出張を取りやめ,次年度に8週間程度の研究滞在(カリフォルニア大学サンタバーバラ校)を実施することで研究目的達成へとつなげるほうが効果的であるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額を研究滞在に係る旅費として使用することを計画している。
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Research Products
(3 results)