2016 Fiscal Year Research-status Report
非コンパクト多様体のエンドの幾何構造と微分同相群の位相幾何学的研究
Project/Area Number |
15K04874
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
矢ヶ崎 達彦 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 教授 (40191077)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 微分同相群 / 同相群 / 一様同相群 / 非コンパクト多様体 / エンド / リーマン計量 / 双曲幾何 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は, 主に次の項目に関する基礎的な研究を進めた. (1) F.T. Farrell, I. Belegradek や その共著者により,低次元 及び 高次元多様体上の「断面曲率に関して適当な条件を満たすリーマン計量の成す無限次元空間」や この空間の商空間である タイヒミュラー空間 や モデュライ空間 の位相的な性質の研究が進展している (cf. Oberwolfach, Report No. 3/2017, Spaces and Moduli Spaces of Riemannian Metrics).このテーマについては,2015年度に本科研費の下で参加した 1st Pan Pacific Inter. Conf. on Topology and Applications, (Nov. 25-30, 2015, Min Nan Normal Univ., China) において,F. T. Farrell 等の講演を聴講し,この分野の最近の進展状況の一端を知ることが出来た.この様な背景の下で,本年度は,これらの一連の研究の進展状況の理解や本研究テーマへの関連性について基本的な研究を行い,関連する研究集会では,この内容に関する解説を行った. (2) L. Funar や その共著者により,典型的な無限曲面の漸近的写像類群の研究や多様体に埋め込まれたカントール集合の同相写像で多様体の微分同相に拡張出来るもの全体の成す可算群の研究が,トンプソン群の拡張という方向で進展している.この研究の進展状況の理解や本研究テーマへの関連性について基本的な研究を行った.また,これに示唆されて,非コンパクト距離多様体の一様同相群の一様位相の下での位相的性質の研究の継続として,コンパクト曲面の被覆曲面として得られる無限曲面の一様同相群のエンドでの大域的な変形性の研究を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1) 本年度は,本研究の本質的な進展に必要となる微分同相群のリーマン計量の空間への作用に関連する F.T. Farrell や I. Belegradek 及び その共著者の一連の研究の理解と本研究課題との関連性についての基本的な考察を行った.また,2つの研究集会で,平面上の非負曲率を持つ完備計量の成す空間に関する I. Belegradek の結果 及び 本研究代表者の研究結果との関連性に関して解説を行った. (2) 非コンパクト距離多様体の一様同相写像の成す群の一様位相の下での大域的な変形に関する研究では,kappa < 0 の錐エンドに関して研究を継続中である.また,他のタイプのエンドに関する研究として,コンパクト曲面の被覆曲面として得られる無限曲面のエンドでの大域的な変形性の研究を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 微分同相群のリーマン計量の空間への作用に関係する F.T. Farrell や I. Belegradek の議論を本研究に結びつけ,非コンパクト多様体の場合にそのエンドの役割を明確にし,非コンパクト多様体の微分同相群のエンドでの変形の研究につなげる.また,この議論の,同相群 及び 測度・距離の空間 の場合への拡張を考察する. (2) kappa < 0 の錐エンド や コンパクト曲面の被覆曲面のエンド での一様同相群の大域的な変形性の研究を進める.
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Research Products
(4 results)